相続の権利・割合

何十年も前の相続を調べる手順|古い名義にぶつかったときの進め方

掲載:Officeうりずん社会保険労務士・行政書士事務所 代表・資格情報

相談室で60代の男性が行政書士と向かい合い、戸籍の写しと登記の書類を前に古い相続の調べ方について相談しているイラスト

※この記事は2026年8月時点の情報に基づく一般的な解説です。何十年も前の相続を調べるとき、どこまで戸籍をたどる必要があるか、誰が相続人になるか、どの手続きが必要になるかは、亡くなった日、当時の戸籍上の身分関係、その後の相続の重なり方によって一人ひとり異なります。実際のお手続きの前に、戸籍の取得については市区町村の窓口、不動産登記については法務局や司法書士、遺産分割調停など家庭裁判所の手続が関係する場合は家庭裁判所や弁護士、相続税については税務署や税理士、相続人調査や相続関係の整理については行政書士にご確認ください。

登記を取ってみたら、祖父の名前のままだった。父の預金を調べていたら、その前の代の手続きが残っていた。相続のご相談では、こうした場面があります。

何十年も前の相続を整理するときは、当時の相続関係をたどり直すところから始まります。いまの家族構成だけを見ていても、答えは出ません。

この記事では、古い名義にぶつかったときに、何をどの順番で確認していくのかを整理します。


目次

  1. 手つかずのまま残る相続があります
  2. 調べる順序|全体の流れ
  3. まず亡くなった日を確認する
  4. 戸籍を取り寄せる
  5. 当時の身分関係を読み取る
  6. 適用される規律を確認する
  7. 相続人を確定する
  8. どこから専門家へつなぐか
何十年も前の相続を調べるとき、まず亡くなった日を確認し、戸籍をたどって当時の身分関係や相続人を確かめていく順序を、行政書士から説明を受けている様子を描いたイラスト

手つかずのまま残る相続があります

古い名義のまま残っている不動産や、何十年も前の相続が未処理のまま残っていることがあります。

当時は手続きをしなくても日常生活の上で困らなかった、相続人が遠方にいた、何をすればよいか分からなかった。事情はさまざまです。

なお、相続登記については令和6年4月から申請が義務化されており、過去に発生した相続も対象になります。この点は相続登記の義務化で詳しく説明しています。


調べる順序|全体の流れ

古い相続を調べるときは、次の順序で進めます。

  • 亡くなった日を確認する
  • 戸籍を取り寄せる
  • 当時の身分関係を読み取る
  • 適用される規律を確認する
  • 相続人を確定する

古い相続では、この順序で確認していくと整理しやすくなります。先に結論を決めつけるのではなく、亡くなった日や戸籍上の身分関係を一つずつ確認することが大切です。

たとえば、祖父名義の土地があるという事実だけでは、どの制度が適用されるかは決まりません。亡くなった日がいつか、当時どういう立場だったかによって、結論が変わるからです。

一つずつ確認していけば、時間はかかっても整理はできます。


まず亡くなった日を確認する

最初に確認するのは、名義人が亡くなった日です。

相続がいつ開始したかによって、適用される規律が変わります。手続きをする日ではなく、亡くなった日が基準です。 ここを取り違えると、適用される制度が変わり、相続人の範囲や相続分に影響することがあります。

亡くなった日は、次のようなところから確認できます。

確認できるもの内容
除籍謄本死亡の記載があり、日付が確認できる
改製原戸籍戸籍が作り直される前の記載が残っている
登記事項証明書相続を原因とする登記があれば、その手がかりになる

古い相続では、そもそも誰がいつ亡くなったのかが家族の間でも曖昧になっていることがあります。伝え聞いた年と、戸籍に記載された年が違っていた、ということも起こります。記憶ではなく、書類で確認することになります。


戸籍を取り寄せる

亡くなった日が分かったら、その方の戸籍を集めます。

必要なのは、出生から死亡までのすべての戸籍です。一部だけでは、子がいたかどうか、養子縁組があったかどうかが分かりません。相続人を確定するには、生涯にわたる記録をつなげる必要があります。

戸籍の取り寄せ方や、複数の本籍地にまたがる場合の進め方については、戸籍収集の方法で詳しく説明しています。

古い相続では、ここで時間がかかります。転籍を繰り返している場合は、複数の時期・本籍地の戸籍をたどる必要があります。令和6年3月からは戸籍証明書等の広域交付が始まり、本籍地以外の市区町村窓口でも一定の戸籍・除籍を取得できるようになっていますが、対象外となる戸籍等もあります。

明治や大正の時期まで遡ると、手書きや旧字体の戸籍を読み取ることがあります。

また、古い戸籍は取得できないことがあります。 保存期間や災害による滅失など、事情はさまざまです。取得できない場合の扱いは、その後の手続きの内容によって変わりますので、専門家に確認することになります。


当時の身分関係を読み取る

戸籍がそろったら、その方が当時どういう立場だったかを確認します。

明治民法が施行されていた時期から昭和22年5月2日までの相続では、亡くなった方が戸主だったのか、戸主でない家族だったのかによって、確認する制度が異なる場合があります。戸主の地位を一人が承継する家督相続と、財産を複数の相続人が承継する遺産相続が、別の制度として存在していたためです。

家督相続がどういう制度だったのか、どのような場合に始まったのかは、家督相続とはで詳しく説明しています。

ここで注意していただきたいのは、古い戸籍の記載の読み方は、時代や戸籍の種類によって異なるということです。見慣れない記載が出てきたときは、その言葉が当時どういう意味を持っていたのかを確認しながら進めることになります。判断に迷う場合は、この段階で専門家に相談されることをおすすめします。


適用される規律を確認する

亡くなった日と、当時の身分関係が分かったら、どの規律が適用されるかを確認します。

昭和22年から昭和23年にかけて、相続の制度は大きく切り替わりました。さらにその後も、相続分などについて改正が重ねられています。

どの規律が適用されるかを確認するときは、まず時期を確認します。通常の死亡による相続では亡くなった日が重要ですが、古い家督相続では隠居など死亡以外の事情によって相続が開始している場合もあります。そのため、戸籍上の身分関係や記載された出来事もあわせて確認します。

この点については、昔の相続の調べ方で時期ごとに整理しています。

古い相続を扱うときに難しいのは、いまの民法の知識だけでは結論が出ないところです。現在の法定相続分をそのまま当てはめると、当時の規律とは違う答えになることがあります。


相続人を確定する

適用される規律が分かったら、相続人が誰だったのかを確定します。

ここで、もう一つの問題が出てくることがあります。最初の相続が未処理のまま、次の世代の相続が起きているという状況です。

たとえば、祖父が亡くなったときの相続が終わらないうちに、その子である父も亡くなっている。この場合、祖父の相続について父の相続人が権利を引き継ぐことになり、確認すべき相続人が増えていきます。

こうした重なりについては、代襲相続と数次相続の違いで詳しく説明しています。

何十年も経っていると、面識のない親族が相続人に含まれることも起こります。遺産分割協議によって整理する場合は、原則として相続人全員が協議に参加する必要があります。面識のない親族が含まれている場合は、まず相続人を正確に把握し、連絡を取るところから進めます。


どこから専門家へつなぐか

古い相続の調査は、戸籍を集めて相続関係を整理するところから始まります。そこから先は、内容によって関わる専門家が変わります。

内容主な専門家
戸籍収集・相続人調査・相続関係の整理・争いのない場合の遺産分割協議書の文案行政書士
不動産の登記・家庭裁判所に提出する書類の作成司法書士
相続人間の対立・協議が調わない場合・遺産分割調停などで法的代理が必要な場合弁護士
相続税の申告が必要かどうかの判断・税額の計算税理士

古い相続では、相続人の数が想定より多くなることがあります。連絡先が分からない、話がまとまらないという段階になれば、それぞれの専門家の領域です。

相続人同士で意見が対立し、協議がまとまらない場合は、弁護士への相談が必要になります。また、相続人の所在が分からず家庭裁判所の手続が必要になる場合には、手続の内容に応じて司法書士や弁護士への確認が必要です。

どの専門家に相談すればよいか迷われる場合は、相続の相談先の選び方もあわせてご覧ください。


まとめ

何十年も前の相続を調べるときの流れを整理します。

  • 最初に確認するのは、名義人が亡くなった日
  • 出生から死亡までの戸籍をそろえて、相続人を確認する
  • 明治民法が適用される時期には、戸主かどうかによって確認する制度が異なる
  • 適用される規律を確認するには相続開始の時期が重要で、古い家督相続では隠居など死亡以外の開始原因にも注意する
  • 最初の相続が未処理のまま次の相続が起きていると、確認すべき相続人が増える

古い相続は、途方もなく感じられることがあります。けれども、亡くなった日を起点に一つずつたどっていけば、整理できることがほとんどです。

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「うりずん」とは、私の故郷・沖縄のことばで「春から初夏にかけて新緑が芽吹く季節」を意味します。大切なご家族を亡くされたつらい時期を過ごされている皆さまが、少しでも前を向いて新しい一歩を踏み出していただけるようお支えしたい――そんな想いで、お一人おひとりのご事情に丁寧に向き合っています。