※この記事は2026年9月時点の情報に基づく一般的な解説です。古い戸籍は、様式が作られた時期、保存の状況、市区町村ごとの取扱いによって、取り寄せられる範囲も記載のされ方も変わり、公的資料で確認できる事項にも限りがあります。戸籍証明書の請求方法やどの戸籍を請求すればよいかについては本籍地の市区町村の戸籍担当窓口、相続登記に必要な書類や手続については法務局の登記手続案内や司法書士、相続税については税理士、相続人の間で分割の内容に争いがある場合については弁護士、戸籍の収集や相続関係の整理については行政書士にご確認ください。

祖父の代の相続が残っていることが分かり、古い戸籍を取り寄せました。届いた紙を開いてみると、毛筆で縦書きに書かれていて、見たこともない形をしています。名前らしきものは読めるけれど、それ以外は何が書いてあるのか分かりません。

相続の手続きで戸籍をさかのぼっていくと、こうした古い戸籍に行き当たることがあります。戸籍の様式は、時代によって違うためです。

この記事では、古い戸籍について公的資料で確認できる範囲に絞って、相続手続きで確認しておきたいポイントを整理します。


目次

  1. 取り寄せた戸籍が、見たこともない形だった
  2. どこまでさかのぼれるのか
  3. 実際の古い戸籍は、どう見えるか
  4. 読めない文字や、見慣れない言葉
  5. 取り寄せられない戸籍があったら
  6. 読めないときは、窓口に確認する方法があります
取り寄せた古い戸籍が読めずに行政書士へ相談している女性のイラスト

取り寄せた戸籍が、見たこともない形だった

相続人を確認するための調査や相続登記では、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍証明書等をたどることになります。何代か前の相続が終わっていない場合、さかのぼる範囲はさらに広がります。

すると、途中から戸籍の形が変わります。

現在、多くの市区町村で交付される戸籍証明書はコンピュータ化され、項目ごとに整理された形式になっています。一方、古い除籍や改製原戸籍には、縦書きや手書きのものがあります。さらにさかのぼると、毛筆で書かれた戸籍が出てきます。

戸籍制度の変更などに伴って様式が改められ、既存の戸籍を新しい様式に移し替える「改製」が行われてきました。改製によって新しい戸籍へ移し替えられる前の戸籍は、「改製原戸籍」として扱われます。

戸籍の種類(戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本)の違いや取り寄せ方については、戸籍収集ガイドで詳しく扱っています。ここでは、古い戸籍そのものをどう扱うかに絞ってお伝えします。


どこまでさかのぼれるのか

まず、実務上いちばん大きな問題からお伝えします。

相続の手続きでは、必要な身分関係を確認するために戸籍を順にさかのぼっていきます。ただし、現在取得できる戸籍には限界があります。

現在、戸籍証明書の交付を受けてさかのぼれるのは、明治19年式戸籍までです。

また、古い除籍は取り寄せられないことがあります。

現在、除籍簿の保存期間は150年と定められています(戸籍法施行規則)。ずいぶん長いので、古い戸籍も全部残っているように思えるかもしれません。

ところが、そうとは限りません。保存期間が現在より短かった時期があり、その時点で廃棄されている市区町村があるためです。 大和市は、昭和36年までは除籍の保存期間が50年だったため、その時点で廃棄されている市区町村もあると案内しています。

このほか、戦災や災害で焼失・滅失している場合もあります。

取り寄せられない場合の対応については、このあとの節でお伝えします。


実際の古い戸籍は、どう見えるか

古い戸籍には、時代ごとに違う様式があります。実務資料では、施行時期などにちなみ、次のような呼び方が用いられています。

実務上の呼び方根拠となった法令
明治19年式戸籍取扱手続(明治19年内務省令第22号)
明治31年式戸籍法(明治31年法律第12号)
大正4年式戸籍法(大正3年法律第26号)・戸籍法施行細則(大正3年司法省令第7号)

これらは法令上の正式な区分名というより、実務資料などで用いられている呼び方です。おおよその目安としてご覧ください。

このあと、戦後に現行の戸籍法による戸籍が作られました。平成6年の法改正により戸籍事務のコンピュータ処理が可能となり、その後、市区町村ごとに順次コンピュータ化が進みました。 「この年から全国一斉に変わった」とは言えません。

具体的にどの欄に何が書かれているかは、様式ごとに違います。このうち大正4年式については、当時の官報に法定の様式が掲載されており、欄の構成を確認できます。

大正4年式の戸籍には、本籍、前戸主、戸主の氏名、そして家族それぞれについて、父母との続柄、出生年月日などを記載する欄が設けられています。

他の様式については、欄の構成を断定できる公的な資料を確認できませんでした。 そのため、この記事では「この欄を見ればよい」といった案内はしていません。実際にお手元の戸籍を見て、どこに何が書かれているか分からない場合は、後述の窓口でご確認ください。


読めない文字や、見慣れない言葉

古い戸籍が読みにくい理由はいくつかあります。

毛筆で書かれていること。崩し字が使われていること。いまは使われない字体(異体字・旧字体)が混じっていること。日付が元号で書かれていること。そして、現在は使われない言葉が出てくることです。

ここで、ひとつお伝えしておきたいことがあります。

⚠ 見慣れない記載があっても、文字だけで身分関係を判断しないでください

公的資料では、大正4年式戸籍について、謄抄本を交付する際に原簿の一部の記載をそのまま謄写しない取扱いが確認できます。父母との続柄欄についても、一部の旧来の表記を「男」「女」と引き直して交付する取扱いがあります。少なくとも大正4年式戸籍では、現在交付される謄本の表記が原簿の記載と完全に同じとは限らない取扱いがあります。 見慣れない記載があるからといって、文字だけを見て現在の身分関係を推測しないことが大切です。

この記事では、見慣れない古い用語を文字だけから推測して解説することはしません。意味が分からない記載がある場合は、推測せず確認することが大切です。

なお、戸主や家督相続といった、当時の制度そのものについては家督相続とは?で扱っています。


取り寄せられない戸籍があったら

保存期間の経過や、戦災・災害による滅失で、必要な戸籍が取り寄せられないことがあります。

このとき、相続登記については救済的な取扱いが示されています。

法務省の通達により、戸籍および残存する除籍等の謄本と、市町村長による「除籍等の謄本を交付することができない」旨の証明書が提出されていれば、相続登記をして差し支えない取扱いが示されています。

この書類の名称や請求方法は、市区町村によって案内が異なる可能性があります。必要になった場合は、該当する除籍等を管理する市区町村に、「除籍等の謄本を交付できない場合の証明書」について確認してください。

なお、ここでご紹介した法務省の通達は、相続登記についての取扱いです。 預貯金など他の相続手続きに同じ取扱いがそのまま適用されるとは限りません。取得できない戸籍がある場合は、各手続先へ必要書類をご確認ください。


読めないときは、窓口に確認する方法があります

ここまでお伝えしてきたように、古い戸籍は読みにくく、書かれている言葉も現在とは違います。ご自身だけで読み解こうとすると、誤った理解につながることもあります。

戸籍証明書の請求方法や、どの戸籍を請求すればよいか分からない場合は、本籍地の市区町村に確認できます。

相続登記に必要な書類や登記手続について分からない場合は、法務局の手続案内を利用できます。

ただし、これらの窓口は、個別の相続について「誰が相続人になるか」を法的に確定してくれる制度ではありません。戸籍に書かれた内容をもとに、ご自身または依頼を受けた専門家が確認することになります。

行政書士には、相続手続きに必要な戸籍の収集や、戸籍をもとにした相続関係の整理をご依頼いただけます。 相続人ご本人が取り寄せることもできますので、ご自身で進めるか依頼するかは状況によってご判断ください。

古い相続が残っていて、どこから手をつければよいか分からない場合の進め方は、何十年も前の相続を調べる手順で扱っています。


まとめ

古い戸籍を手にしたときに確認していただきたいことを整理しました。

戸籍の様式は時代によって違います。 制度の変更に伴って様式が改められ、改製が行われてきました。

現在、戸籍証明書の交付を受けてさかのぼれるのは、明治19年式戸籍までです。 また、保存期間の関係や戦災などで、古い除籍が取り寄せられないこともあります。

古い除籍等を取得できない場合でも、相続登記については救済的な取扱いがあります。 残っている戸籍・除籍等と、市区町村長による証明書を提出することで相続登記を進められる取扱いが示されています。

見慣れない記載があっても、文字だけで身分関係を判断しないでください。 公的資料では、大正4年式戸籍について、謄抄本の交付時に原簿の一部の記載をそのまま謄写しない取扱いが確認されています。古い記載は、文字だけから意味を推測しないことが大切です。

分からない点は、内容に応じて市区町村や法務局の手続案内で確認してください。 ただし、窓口が個別の相続について相続人を法的に確定する制度ではありません。ご自身で読み解こうとして誤るより、確かめる方が確実です。

相続のお手続きでお困りの方へ

うりずん相続手続き相談室では、古い戸籍をさかのぼる相続人調査を承っています。戸籍の収集、相続関係の整理、争いのない場合の遺産分割協議書の作成など、行政書士として対応できる手続きをお手伝いします。相続登記や相続税申告、相続人の間で争いがある場合には、提携する司法書士・税理士・弁護士と連携し、必要な専門家へ適切におつなぎします。まずはお話をお聞かせください。どうぞ安心してご相談ください。

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