
※この記事は2026年10月時点の情報に基づく一般的な解説です。固定資産税の課税の内容や手続きの案内は、市町村や建物ごとに異なります。課税の内容は市の固定資産税(家屋)の担当、建物の表示に関する登記は土地家屋調査士、相続登記は司法書士、税額は税理士にご確認ください。
実家を相続して、固定資産税の納税通知書が届いた。同封の課税明細書を見ると、建て替えのときに取り壊したはずの建物が、まだ載っているように見える。こうしたとき、市に聞けばよいのか、登記を直せばよいのか、順序が分からずに手が止まってしまうことがあります。
横浜市は2026年10月、法務局の登記の情報と市の課税の情報を照合した結果、固定資産税の課税の誤りが見つかったと発表しました。この記事では、課税の記録と登記の記録の関係と、2つの書類の見比べ方、気づいたときの問い合わせ先を整理します。税額や還付の見通しは扱いません。なお、納税通知書が亡くなった親の名前のまま届く理由や、相続人の代表者の届出については、相続人代表者指定届が届いたらで説明しています。
目次
- 横浜市が公表した、固定資産税の課税の誤り
- 固定資産税の記録と、登記の記録は別のもの
- 課税明細書と登記事項証明書を並べて見る
- 建物の記録を確かめたい3つの場面
- 食い違いに気づいたときの問い合わせ先
- 登記を直す必要があるとき
- 行政書士に相談できること
横浜市が公表した、固定資産税の課税の誤り
横浜市の発表(2026年10月2日)によると、市は税務システムの更新にあわせて、法務局の登記の情報と、市が持つ約300万件の家屋の課税の情報を照合しました。その結果、家屋の建て替えに伴う課税変更の処理漏れや入力誤りによって、固定資産税・都市計画税を多く納めてもらっていた課税の誤りが6件見つかりました。
市は対象の方に個別に説明し、地方税法等の規定に基づいて還付の手続きを進めていると発表しています。再発防止策としては、家屋の取り壊しなどに伴う事務処理の手順を見直すことや、登記の情報を市の課税の情報へ自動的に反映する仕組みを活用することが挙げられています。
今回、約300万件の家屋の課税情報を照合した結果、建て替えなどに伴う処理漏れや入力誤りによる過大徴収が6件確認されました。
固定資産税の記録と、登記の記録は別のもの
固定資産税は、市が備える「固定資産課税台帳」をもとに課税されます。原則として毎年1月1日現在の所有者に課税され、家屋については、登記簿や台帳に所有者として登記・登録されている人が所有者とされます(横浜市・川崎市の案内)。登記簿上の所有者が亡くなっている場合の扱いは、相続人代表者指定届が届いたらで説明しています。
地方税法では、登記されている家屋は、登記の内容(所在・家屋番号・種類・構造・床面積など)をもとに台帳へ登録されることになっています。建物の表示に関する登記がされると、法務局から市へ通知が届き、市が台帳を直す仕組みです。
横浜市は、今回の事案について、建て替えなどに伴う課税情報の修正入力と、その後の確認作業で、処理漏れや入力誤りを発見できなかったと説明しています。記録と今の建物が合わないときは、市の担当に確認しましょう。
また、登記されていない建物にも固定資産税はかかります。市は、登記されていない家屋を別の台帳(家屋補充課税台帳)で把握しています。
課税明細書と登記事項証明書を並べて見る
固定資産税の課税明細書(納税通知書に同封されている書類)と、法務局で取る登記事項証明書を並べて見ると、課税の記録と登記の記録が合っているかを確かめられます。2つの書類の取り方は、川崎で相続した不動産の進め方で紹介しています。なお横浜市では、名寄帳にあたる書類を「名寄帳兼(補充)課税台帳」と呼び、非課税の物件は載らないと案内しています。
横浜市の令和8年度の課税明細書(家屋)で見比べる欄は、次のとおりです。
| 見比べる項目 | 課税明細書(横浜市・令和8年度の様式)の欄 | 登記事項証明書(表題部)の欄 |
|---|---|---|
| 建物の場所 | 土地又は家屋の所在地 | 所在 |
| 建物の番号 | 家屋番号又は共用土地の持分割合 | 家屋番号 |
| 建物の種類 | 登記地目又は種類・用途 | 種類 |
| 建物の構造 | 現況地目又は構造 | 構造 |
| 床面積 | 登記地積又は床面積/現況地積又は床面積 | 床面積 |
横浜市は、課税明細書の所在地の欄は「地番」で表示していて、住居表示の住所とは異なると説明しています。住所と所在地の書き方が違うのは、食い違いではありません。また、家屋番号の欄は登記簿上の家屋番号を表す、としています。
⚠ 床面積の欄は2つあります
横浜市の課税明細書には、登記の床面積と現況の床面積の欄があります。横浜市は、登記床面積の欄には、登記簿上の床面積または課税上の床面積が印字されると案内しています。欄の数字が登記事項証明書と一致するかどうかだけで、誤りかどうかは判断できません。
川崎市の課税明細書は、裏面に見方が書かれています。分からない点は、納税通知書1枚目の問い合わせ先に尋ねるよう、川崎市は案内しています。また川崎市は、課税明細書は再発行できないとしていますので、見比べたあとは保管しておきましょう。
建物の記録を確かめたい3つの場面
次のような場面では、課税明細書と登記事項証明書を見比べ、さらに建物の今の状態と合っているかを確かめておくと安心です。2つの書類の内容が一致していても、どちらも古いままで、今の建物と合っていないこともあります。
1. 建物を取り壊したのに、記録に残っている
建て替えなどで建物を取り壊したのに、課税明細書や登記事項証明書に、その建物が残っていることがあります。不動産登記法では、建物を取り壊したときは、その日から1か月以内に滅失の登記を申請する決まりになっており、申請を怠った場合の定めもあります。
2. 増築したのに、床面積が変わっていない
増築などで床面積が変わったときも、変わった日から1か月以内に、表題部の変更の登記を申請する決まりがあります。課税明細書や登記事項証明書の床面積が、増築前のままになっていないかを見ます。
3. 登記されていない建物がある
課税明細書には載っているのに、登記簿には無い建物が見つかることがあります。登記されていない建物にも固定資産税はかかりますので、課税明細書に載っていること自体は、課税の誤りではありません。相続のあとには、最初の登記(表題登記)などの手続きが必要になることがあります。詳しくは川崎で相続した不動産の進め方の「未登記の建物がある」をご覧ください。
どの記録をどの順番で直すかは、建物の状況によって変わります。まずは、どこが今の建物と合っていないかを書き出しておきましょう。
食い違いに気づいたときの問い合わせ先
課税の内容に疑問があるときは、市の家屋の担当に問い合わせます。窓口や案内は、市によって違います。
横浜市
- 建物の状況と異なる表示があるときは、資産のある区の区役所税務課(固定資産税 家屋担当)へ問い合わせるよう案内されています。区役所の窓口は、横浜市で相続手続きをするならでまとめています。
- その年に家屋の新築・増改築・取り壊しをした人は、横浜市電子申請・届出システム等で「土地・家屋に異動があったとき」の届出をするよう案内されています。この届出について、横浜市は、登記の変更手続きをした人などは届出をしていただく必要はありません、と書いています。
- 登記されていない家屋を相続した場合は、区役所に「未登記家屋の所有者変更申請書」を出す運用があると案内されています。
川崎市
- 家屋を取り壊したときは、まず法務局で滅失の登記をするよう案内しています。
- 滅失の登記に時間がかかる場合や、登記されていない家屋の場合は、家屋のある区を担当する市税事務所・市税分室の資産税課家屋係(家屋担当)に、所在地と取り壊した日を連絡するよう案内しています。
登記を直す必要があるとき
登記には、建物の所在・種類・構造・床面積などを記録する「表示に関する登記」と、所有権の移転などを記録する「権利に関する登記」があります。法務局は、表示に関する登記の申請を代理して行う専門家は土地家屋調査士、権利に関する登記は司法書士、と案内しています。建物の表示に関する登記は土地家屋調査士に、相続登記は司法書士にご相談ください。
相続登記には申請の義務があります。期限などは相続登記の義務化とは?期限・過料・「実家が親名義のまま」の進め方で説明しています。
相続登記の申請では、固定資産の価格を確認する書類が必要になります。課税明細書は、登記申請で固定資産の価格を確認するために利用できる書類の一つです。手続きに使う書類は、法務局や司法書士に確認してください。相続手続き全体で使う書類は、相続手続きに必要な書類一覧でまとめています。
税額や還付の可否については、市(課税の担当)や税理士にご確認ください。
行政書士に相談できること
当事務所では、行政書士として、課税明細書・名寄帳・登記事項証明書などの資料を集め、記載内容のどこが食い違っているかを整理するお手伝いをしています。登記の申請や測量、課税の誤りや還付の判断は行いません。
相続のお手続きでお困りの方へ
うりずん相続手続き相談室では、相続した実家の固定資産税の通知を見て、建物の記載が今の状態と合っているか気になった段階から、戸籍の収集による相続人調査、財産調査、遺産分割協議書の作成、銀行口座の解約手続きのサポート、遺族年金・未支給年金の請求支援など、行政書士・社会保険労務士として対応できる手続きを中心にお手伝いしています。相続登記や相続税申告、紛争対応が必要な場合には、提携する司法書士・税理士・弁護士と連携し、必要な専門家へ適切におつなぎします。市区町村や年金事務所での手続きに不安をお持ちの方も、どうぞ安心してご相談ください。
川崎・横浜エリアを中心に、初回のご相談は60分無料・土日祝もご予約可能・秘密厳守・お問い合わせには翌営業日までにご返信しています。お電話・LINE・お問い合わせフォームから、お気軽にご連絡ください。
まとめ
- 固定資産税の記録(固定資産課税台帳)と、法務局の登記の記録は別のもので、食い違うことがあります
- 課税明細書と登記事項証明書の5つの欄(所在・家屋番号・種類・構造・床面積)を見比べ、今の建物と合っているかも確かめましょう
- 気づいたら、まず市の家屋の担当へ。登記が必要なら、表示に関する登記は土地家屋調査士、相続登記は司法書士にご相談ください



