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山林を相続したら、90日以内の届出が必要な場合があります|農地とは期限が違います

掲載:Officeうりずん社会保険労務士・行政書士事務所 代表・資格情報

相談室で50代の男性が行政書士と向かい合い、相続した山林の地図を見ながら森林の届出について相談しているイラスト

※この記事は2026年11月時点の情報に基づく一般的な解説です。届出の対象となる森林か、届出書の様式や添える書類は、土地のある市町村や一人ひとりの状況によって異なります。届出が必要かどうかや届出の方法は土地のある市町村の担当窓口、相続登記は司法書士、立木の売却などの税は税務署または税理士、境界や測量は土地家屋調査士にご確認ください。

親が持っていた山林を相続したとき、土地のある市町村に「森林の土地の所有者届出」を出す必要がある場合があります。対象は、都道府県が定める地域森林計画の対象となっている森林で、登記の地目が「山林」かどうかだけでは決まりません。

期限は、亡くなった日から90日以内です。遺産分割の話し合いが終わっていなくても、いったん届け出る必要があります。この記事では、届出が必要かどうかの確かめ方、期限の考え方、届出先と書類、農地を一緒に相続したときの違いを順に説明します。


目次

  1. 森林の土地の所有者届出とは
  2. 届出が必要な土地かどうかを確かめる
  3. 相続のときの期限:亡くなった日から90日以内
  4. 届出先と、届出書に書くこと・添える書類
  5. 届け出なかったらどうなるか
  6. 農地も一緒に相続したとき
  7. 管理できない山林を手放したいとき
  8. 行政書士に相談できること
父の山林を相続した50代の男性が、届出の対象は地域森林計画の森林で地目だけでは決まらないこと、期限は亡くなった日から90日以内で遺産分割の話し合いが終わっていなくても共有として届け出ること、田畑は農業委員会への届出が別に必要なことについて、行政書士から説明を受けている様子を描いたイラスト

森林の土地の所有者届出とは

森林の土地の所有者になった人が、その土地のある市町村に届け出る制度です。森林法にもとづく制度で、売買だけでなく、相続で所有者になった場合も対象になります。

届け出るのは、いつ、どんな理由で所有者が変わったか、前の所有者と新しい所有者は誰か、どこの土地をどれだけ取得したか、といった内容です。市町村は、この届出によって森林の所有者を把握します。

相続登記をしたからといって、この届出が不要になるわけではありません。登記は法務局、この届出は市町村と、窓口も手続きも別です。


届出が必要な土地かどうかを確かめる

届出の対象は、都道府県が定める地域森林計画の対象となっている民有林です。山林と呼ばれる土地のすべてが対象になるわけではありません。

登記上の地目が「山林」でなくても、現況が森林であれば対象となる可能性があります。ただし、届出の対象かどうかは、地域森林計画の対象森林かどうかで決まります。地目が「山林」と書いてあっても、それだけでは判断できません。

確かめる先は、土地のある市町村の担当窓口です。川崎市でも、対象の森林かどうかは問い合わせで確認できると案内しています。相続した土地が遠方にある場合も、届出先・問い合わせ先は、ご自身の住所地ではなく土地のある市町村です。

なお、別の法令にもとづく届出をしている場合など、森林法の届出が不要となる例外もあります。当てはまるかどうかも、市町村に確かめてください。


相続のときの期限:亡くなった日から90日以内

相続で森林の土地の所有者になった場合、所有者となった日は、相続が始まった日、つまり亡くなった日です。届出の期限は、その日から90日以内です。この90日は、森林法の施行規則(国の定めるルール)に定められています。

「遺産分割で誰が山林を受け継ぐか決まってから届け出ればよい」と考えがちですが、そうではありません。林野庁の手引きでは、次のように扱うことが示されています。

  • 90日以内に遺産分割の話し合いが整った場合:山林を取得した人が、亡くなった日から90日以内に届け出ます
  • 90日以内に話し合いが整わない場合:いったん、法定相続人の共有として、亡くなった日から90日以内に届け出ます。その後、遺産分割で持分が変わったら、話し合いが終わった日から90日以内に、あらためて届け出ます

兄弟姉妹で話し合いに時間がかかりそうなときは、話し合いの結論を待たずに、まず共有として届け出ることを考えてください。


届出先と、届出書に書くこと・添える書類

届出先

土地のある市町村の長に届け出ます。届出書は国が定める共通の様式で、宛先は自分で書き入れます。たとえば横浜市は、様式の左上の「殿」の部分に「横浜市長」と書くよう案内しています。郵送や窓口のほか、オンラインで受け付けている市町村もあります。

届出書に書くこと

2026年4月1日から届出書の様式が改められ、記載事項が加わりました。現在の様式で、個人が相続で届け出る場合に書く主な事項は次のとおりです。

  • 所有権が移った年月日と、その原因(相続)
  • 前の所有者の氏名・住所
  • 届出をする人(新しい所有者)の氏名・住所・連絡先(電話番号とメールアドレス)
  • 届出をする人の国籍等(2026年4月から加わった項目)
  • 土地の所在(市町村名・大字・字・地番)と面積
  • 共有の場合は持分の割合
  • 森林の土地の用途や境界など、参考になる事項

届出をする人の住所が国外にある場合は、国内の連絡先もあわせて届け出ます。古い様式を手元に持っている場合は、そのまま使わず、届出先の市町村で現在の様式を確かめてください。

添える書類

基本は、「権利を取得したことが分かる書類」と「土地の位置を示す図面」です。

  • 権利を取得したことが分かる書類の例:登記事項証明書、遺産分割協議書の写しなど
  • 土地の位置を示す図面の例:位置図や案内図、公図など

求められる書類の範囲は、市町村によって違います。たとえば川崎市は、案内図・位置図と公図を分けて挙げ、登記事項証明書は原則として所有権が移った後のものとしています。必要な書類は、届出先の市町村でご確認ください。


届け出なかったらどうなるか

届出をしなかった場合や、偽りの届出をした場合には、10万円以下の過料が科されることがあります。過料は刑罰ではありません。

林野庁が市町村向けに示している手引きでは、届出がされていないことが分かった場合、まず事情を聞き取ることとされています。そのうえで、制度を知らなかった場合などは文書で届出を求め、以前に指導を受けたのに再び届け出なかった場合や故意の場合などに、過料の手続を進める流れが示されています。

期限を過ぎていることに気づいたら、そのままにせず、早めに市町村に相談して届け出てください。


農地も一緒に相続したとき

山林と一緒に田や畑を相続した場合、農地については農業委員会への届出が別に必要です。森林の届出とは、窓口も期限の決まり方も違います。

森林の土地農地
届出先土地のある市町村の長農業委員会
期限の決まり方森林法の施行規則で「90日以内」法律は「遅滞なく」。国の処理基準で「おおむね10か月以内」
数え始め所有者となった日(相続では亡くなった日)権利を取得したことを知った時点

どちらも、相続登記とは別に必要な手続きです。農地の届出については、農地を相続したらで詳しく説明しています。


管理できない山林を手放したいとき

遠方の山林を相続して、管理が難しいと感じる方も少なくありません。相続した土地を一定の要件のもとで国に引き取ってもらう「相続土地国庫帰属制度」があります。制度の内容は、相続した「いらない土地」を手放す方法をご覧ください。

ただし、将来手放すことを考えていても、相続で所有者になった以上、森林の届出は期限内に必要です。手放すかどうかを決める前に、まず届出を済ませておきましょう。

あわせて、相続登記も義務になっています。登記については相続登記の義務化とは?期限・過料・「実家が親名義のまま」の進め方で説明しています。登記の申請は司法書士の業務です。


行政書士に相談できること

行政書士は、市町村長への森林の土地の所有者届出書の作成と、提出手続の代理をお手伝いできます。相続人を確かめるための戸籍の収集や、相続人の間で合意した内容にもとづく遺産分割協議書の作成とあわせて進めることもできます。

届出書に書く内容や添える書類は、届出先の市町村で確かめながら準備します。相続登記の申請は提携先の司法書士、立木の売却などに関わる税金は提携先の税理士と連携して対応します。境界の確認や測量・分筆については、土地家屋調査士にご相談ください。

相続のお手続きでお困りの方へ

うりずん相続手続き相談室では、親から山林や田畑を相続し、届出が必要かどうか分からない段階から、戸籍の収集による相続人調査、財産調査、遺産分割協議書の作成、銀行口座の解約手続きのサポート、遺族年金・未支給年金の請求支援など、行政書士・社会保険労務士として対応できる手続きを中心にお手伝いしています。相続登記や相続税申告、紛争対応が必要な場合には、提携する司法書士・税理士・弁護士と連携し、必要な専門家へ適切におつなぎします。市区町村や年金事務所での手続きに不安をお持ちの方も、どうぞ安心してご相談ください。

川崎・横浜エリアを中心に、初回のご相談は60分無料・土日祝もご予約可能・秘密厳守・お問い合わせには翌営業日までにご返信しています。お電話・LINE・お問い合わせフォームから、お気軽にご連絡ください。


まとめ

  • 届出の対象は地域森林計画の対象となっている森林です。地目だけで判断せず、土地のある市町村で確かめましょう
  • 期限は亡くなった日から90日以内です。遺産分割の話し合いの途中でも、法定相続人の共有として届け出ます
  • 農地も相続した場合は、農業委員会への届出が別に必要です。期限の決まり方と窓口が森林とは違います