
※この記事は2026年9月時点の情報に基づく一般的な解説です。住所等変更登記の義務やスマート変更登記についての説明は、法務省・法務局が2026年9月時点で公表している案内に基づくもので、個別の事情が「正当な理由」にあたるかどうかを示すものではありません。登記の申請については司法書士に、制度や手続きの詳細は法務局の案内にご確認ください。
川崎市内に自宅マンションをお持ちの60代の方から、こんなご相談をいただきました。
「住所が変わったら登記をしないといけない、と聞きました。引っ越しのたびに法務局へ行かなければならないのでしょうか。相続登記の義務化とは、何が違うのですか」
令和8年(2026年)4月1日から、不動産の所有者が住所や氏名を変えたときの変更登記が義務になりました。あわせて、法務局が職権で住所等の変更登記をする「スマート変更登記」という仕組みが用意されています。
このコラムでは、スマート変更登記の仕組みと、利用するために必要な「検索用情報の申出」の方法、申出の前に確認しておきたい点を整理します。
目次
- 住所等変更登記の義務化|相続登記とは別のルール
- スマート変更登記とは|法務局が職権で住所等を変更する仕組み
- 申出をしておくと、義務との関係はどうなるか
- 申出の方法|Webブラウザでも書面でもできる
- 申出の前に確認しておきたいこと
- うりずんに相談できること
住所等変更登記の義務化|相続登記とは別のルール
今回関係する主な「登記の義務化」には、相続登記と住所等変更登記があります。どちらも「登記の義務化」と呼ばれるため混同されやすいのですが、対象も期限も違います。
| 項目 | 相続登記 | 住所等変更登記 |
|---|---|---|
| 誰の名義を直すか | 亡くなった方の名義 | 生きている所有者の氏名・住所 |
| 期限 | 3年以内 | 変更があった日から2年以内 |
| 正当な理由なく怠った場合 | 10万円以下の過料 | 5万円以下の過料 |
| 施行日 | 2024年4月1日 | 2026年4月1日 |
施行日より前に住所等が変わっていた場合も対象で、令和10年(2028年)3月31日までに変更登記をする必要があります。附則では、起算点を「変更があった日または施行日のいずれか遅い日」としているため、施行日から2年後がこの日付になります。
義務の内容や、期限を過ぎた場合の流れは、相続登記の義務化とは?期限・過料・「実家が親名義のまま」の進め方で解説しています。亡くなった方の登記上の住所が古いままの場合に、相続登記でどのような書類が必要になるかは、相続手続きに必要な書類一覧をご覧ください。
スマート変更登記とは|法務局が職権で住所等を変更する仕組み
不動産登記法では、所有者の氏名や住所に変更があったと認めるべき場合に、登記官が職権で変更登記をすることができると定めています。ただし、所有者が個人の場合は「その申出があるときに限る」とされています。
この申出が「検索用情報の申出」です。登記官が住基ネットの情報を検索できるように、氏名・住所のほか、生年月日等の「検索用情報」をあらかじめ申し出ておく手続きです。
申出の後に住所や氏名が変わった場合は、法務局が変更の事実を確認し、ご本人の了解を得た上で、職権で変更登記をします。法務省は、この仕組みを「スマート変更登記」と呼んでいます。
なお、スマート変更登記も、通常の登記申請と同様に、変更登記が完了するまで一定の期間がかかります。速やかに変更登記をしたい場合は、従来どおり登記申請をする必要があると案内されています。
申出をしておくと、義務との関係はどうなるか
法務省は、検索用情報の申出を済ませておけば、住所等変更登記が義務化された後も、義務違反に問われることがなくなる、と案内しています。住所等が変わるたびにご自身で登記申請をしなくても済むようにする、という位置づけです。
また法務省は、義務の履行期間内に次のような事情があれば、一般に「正当な理由」があると認めることとしています。
- 検索用情報の申出(または会社法人等番号の登記)がされているが、登記官の職権による住所等変更登記の手続がされていない場合
- 行政区画の変更等により、所有者の住所に変更があった場合
- 義務を負う方自身に、重病等の事情がある場合
- 義務を負う方がDV被害者等で、避難を余儀なくされている場合
1つ目のとおり、申出をしていれば、職権による変更登記がまだ済んでいない段階でも「正当な理由」がある場合として扱われます。
もっとも法務省は、これらに該当しない場合でも、個別の事案における具体的な事項に応じて「正当な理由」を判断することとしています。個別の事情が「正当な理由」にあたるかどうかを判断するのは、登記官です。
申出の方法|Webブラウザでも書面でもできる
令和7年4月21日時点ですでに不動産の所有者として登記されている方(個人に限ります)は、登記申請とは別に、検索用情報の申出だけをすることができます。
法務省は、この申出の特徴として次の点を挙げています。
- 押印・電子署名は不要
- 専用のソフトウェアを使わずに、Webブラウザ上で手続きできる
- 添付する書類は、多くの場合、運転免許証や個人番号カード(マイナンバーカード)などの身分証明書の写しのみ
- 登録免許税等の費用がかからない
Webブラウザで申し出る場合は、画面の案内に従って、所有者の生年月日、メールアドレス、不動産の地番などを入力します。書面で申し出る場合は、申出書を作成し、不動産を管轄する法務局に送付または持参します。管轄の異なる複数の不動産をお持ちの場合は、そのうちいずれかの不動産を管轄する法務局に、まとめて申し出ることができます。
なお、令和7年4月21日からは、所有権の保存・移転等の登記を申請する際に、所有者の検索用情報もあわせて申し出ることが必要になっています。それ以降に登記を受けた方でも、ご自身が申請人にならなかった場合などで申出をしていないときは、この申出をすることでスマート変更登記の対象にできます。
申出の前に確認しておきたいこと
海外にお住まいの方は、検索用情報の申出をしても、職権による住所等変更登記の対象にはなりません。法務省は、海外居住者の方は、氏名や住所に変更があった場合、変更の日から2年以内にご自身で登記申請をする必要があると案内しています。
申出のときに入力するメールアドレスは、登記官が職権で変更登記をしてよいかをご本人に確認する際の、メールの送り先になります。確認のメールを受け取れるアドレスを入力することが大切です。
法務省は、住基ネットへの照会で住所等の変更が認められた方が、変更登記の意思確認の通知を受け取ったのに登記を拒否した場合や、期限までに回答しなかった場合を、登記官が住所等変更登記の義務に違反した者を把握する場合の例として挙げています。義務違反を把握した場合には、登記官がまず登記をするよう催告する流れとされています。申出をした後も、確認の連絡には期限内に回答してください。催告から先の流れは、相続登記の義務化で取り上げています。
うりずんに相談できること
住所や氏名の変更だけであれば、スマート変更登記の申出は、ご本人がWebブラウザや書面で行うことができます。住所等変更登記をご自身で申請することもできます。専門家に依頼する場合は、司法書士へご相談ください。当事務所では、登記申請の代理は行っていません。
一方で、相続が関係する不動産では、亡くなった方の名義を整理するための書類の準備が必要になります。当事務所では、その前段階の書類づくりをお手伝いしています。
相続のお手続きでお困りの方へ
うりずん相続手続き相談室では、住所や名義の変更にあわせて不動産の手続きを考える方の確認の入口として、戸籍の収集による相続人調査、財産調査、遺産分割協議書の作成、銀行口座の解約手続きのサポート、遺族年金・未支給年金の請求支援など、行政書士・社会保険労務士として対応できる手続きを中心にお手伝いしています。相続登記や相続税申告、紛争対応が必要な場合には、提携する司法書士・税理士・弁護士と連携し、必要な専門家へ適切におつなぎします。市区町村や年金事務所での手続きに不安をお持ちの方も、どうぞ安心してご相談ください。
川崎・横浜エリアを中心に、初回のご相談は60分無料・土日祝もご予約可能・秘密厳守・お問い合わせには翌営業日までにご返信しています。お電話・LINE・お問い合わせフォームから、お気軽にご連絡ください。
まとめ
令和8年(2026年)4月1日から始まった住所等変更登記の義務化と、スマート変更登記について、押さえておきたい点は次のとおりです。
- 住所等変更登記の義務(変更があった日から2年以内・5万円以下の過料)は、相続登記の義務(3年以内・10万円以下の過料)とは別のルール
- 施行日より前に住所等が変わっていた場合も対象で、期限は令和10年(2028年)3月31日
- 検索用情報の申出をしておくと、法務局がご本人の了解を得た上で、職権で変更登記をする
- 法務省は、申出を済ませておけば義務違反に問われることがなくなると案内している
- 申出は押印不要・Webブラウザで手続きでき、費用もかからない。ただし海外居住者の方は対象外



