※この記事は2026年9月時点の情報に基づく一般的な解説です。必要な書類は、相続の方法や内容、お取引金融機関によって異なる場合があります。必要な書類は提出先の金融機関、金融機関の求めをめぐる争いは弁護士にご確認ください。

相続の手続きで、金融機関から「この書類では足りない」「出し直してほしい」と言われることがあります。あわてて書類を取り直す前に、何が足りないのかを確かめておくと、同じ指摘を繰り返さずに済みます。この記事では、書類が足りないと言われたときに確かめておきたい点を整理します。


目次

  1. 必要な書類は、金融機関によって異なることがあります
  2. まず、指摘した金融機関に何が足りないのかを確認する
  3. 確認例①|戸籍が「出生から死亡まで」つながっていない
  4. 確認例②|手続きの区分に合う印鑑証明書がそろっていない
  5. 同じ指摘を繰り返さないために|法定相続情報一覧図の写し
  6. 協議書や遺言の内容について指摘されたとき
  7. 行政書士・社会保険労務士に相談できること
銀行で相続書類が足りないと言われた30代後半の男性が、何が足りないのかを銀行に具体的に確認すること、必要な書類は金融機関によって違うことがあること、戸籍が出生から死亡までつながっているかを確かめること、手続きの区分で印鑑証明書が必要な人が変わること、法定相続情報一覧図の写しは印鑑証明書の代わりにならないことについて、行政書士から説明を受けている様子を描いたイラスト

必要な書類は、金融機関によって異なることがあります

全国銀行協会は、預金の相続手続きで提出を求められる書類をおおむね案内したうえで、相続の方法や内容、お取引金融機関によって、必要となる書類が異なる場合があるとしています。くわしくは、お取引金融機関に問い合わせるよう案内しています。

⚠ 必要な書類は、お取引金融機関によって異なります
一般的な必要書類の一覧と違う書類を求められることもあります。どの書類が必要かは、提出先の金融機関に確認してください。

提出先ごとの必要書類の一覧は、相続手続きに必要な書類一覧の記事でまとめています。手続きが止まりやすい工程の全体は、相続手続きが長引くのはどこ?の記事で整理しています。


まず、指摘した金融機関に何が足りないのかを確認する

書類が足りないと言われたら、まず指摘した金融機関に、次の点を具体的に確認しましょう。

  • どの書類が足りないのか
  • 誰の書類か(亡くなった方の分か、相続人のだれの分か)
  • 戸籍であれば、どの期間の分が足りないのか
  • 取り直しが必要か、ほかの書類を添えれば足りるのか

指摘の内容をメモしておくと、次に提出するときの確認に使えます。金融機関の求めが妥当かどうかで争いになった場合は、弁護士に相談してください。


確認例①|戸籍が「出生から死亡まで」つながっていない

全国銀行協会の案内では、遺言書がない場合の預金の相続手続きについて、亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍(除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書)が必要書類として挙げられています。

法務局の案内によると、戸籍は、結婚による分籍や転籍、戸籍の改製などによって、複数に分かれている場合があります。戸籍の改製には、昭和32年法務省令第27号による改製や、平成6年法務省令によるコンピュータ化があります。途中の戸籍が一つでも抜けていると、出生から死亡までつながっていないことになります。

求められる範囲が、金融機関によって違うこともあります。例として、ゆうちょ銀行は、亡くなった方の初婚から死亡まで(未婚の場合は16歳から)の連続した戸籍謄本を案内しています。全国銀行協会の一般的な案内(出生から死亡まで)とは起点が違うので、どの範囲の戸籍が必要かは、提出先ごとに確認してください。

足りない戸籍は、本籍地の市区町村で取り直します。本籍地以外の窓口でまとめて請求できる、戸籍の広域交付という制度もあります。戸籍の集め方や「改製原戸籍」については、相続人調査の記事で説明しています。


確認例②|手続きの区分に合う印鑑証明書がそろっていない

全国銀行協会の案内では、必要な印鑑証明書が、手続きの区分によって違います。

  • 遺言書がない場合(遺産分割協議書がある場合・ない場合):相続人全員の印鑑証明書
  • 遺言書がある場合:その預金を相続する方(遺言執行者がいる場合は遺言執行者)の印鑑証明書
  • 家庭裁判所の調停調書・審判書がある場合:その預金を相続する方の印鑑証明書

どの区分の手続きとして提出しているかで、印鑑証明書が必要な人が変わります。指摘を受けたら、どの区分の手続きとして扱われているかも確認しましょう。

印鑑証明書に求められる発行時期も、提出先の金融機関に確認してください。


同じ指摘を繰り返さないために|法定相続情報一覧図の写し

法務局の案内によると、法定相続情報一覧図の写しは、金融機関などの様々な相続関係の手続きにも使えます。利用できる手続きでは、戸籍の束を繰り返し提出する負担を減らせます。利用できるか分からない場合は、提出先に確認するよう案内されています。

ただし、法定相続情報一覧図の写しは、印鑑証明書の代わりにはならない点に注意してください。印鑑証明書は別に用意します。

一覧図の作り方は、法定相続情報一覧図の作り方の記事で説明しています。


協議書や遺言の内容について指摘されたとき

遺産分割協議書の記載について指摘された場合は、どこをどう直す必要があるのかを、指摘した金融機関に具体的に確認してください。

遺言や遺産分割協議書の内容そのものについて、相続人の間で争いがある場合は、弁護士に相談してください。


行政書士・社会保険労務士に相談できること

当事務所では、次のようなお手伝いができます。

  • 戸籍の取り直しと、相続人の調査
  • 一覧図の申出の代理(法務局は、申出を依頼できる代理人として行政書士・社会保険労務士も挙げています)
  • 相続人の間で合意ができている内容にもとづく、遺産分割協議書の作成

金融機関の求めが妥当かどうかの判断や交渉は、弁護士の業務です。相続登記は司法書士、相続税は税理士への相談をご案内します。凍結された口座の手続きの流れは、銀行口座が凍結された時の対処法の記事で説明しています。


まとめ

金融機関から書類が足りないと言われたときは、あわてずに確認することから始めましょう。

  • 必要な書類は、お取引金融機関によって異なることがある。まず、何が足りないのかを具体的に確認する
  • 確認したい点は、戸籍が出生から死亡まで連続しているかと、手続きの区分に合う印鑑証明書がそろっているか
  • 一覧図の写しで戸籍の出し直しは減らせるが、印鑑証明書の代わりにはならない

書類が足りないと言われても、何が足りないのかが分かれば、次にやることは決まります。指摘の内容を一つずつ確かめながら進めていきましょう。

相続のお手続きでお困りの方へ

うりずん相続手続き相談室では、「書類が足りない」と言われて次に何をすればよいか分からないという段階から、戸籍の収集による相続人調査、財産調査、遺産分割協議書の作成、銀行口座の解約手続きのサポート、遺族年金・未支給年金の請求支援など、行政書士・社会保険労務士として対応できる手続きを中心にお手伝いしています。相続登記や相続税申告、紛争対応が必要な場合には、提携する司法書士・税理士・弁護士と連携し、必要な専門家へ適切におつなぎします。市区町村や年金事務所での手続きに不安をお持ちの方も、どうぞ安心してご相談ください。

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