※この記事は2026年9月時点の情報に基づく一般的な解説です。必要な書類や手続きの流れは、相続の方法や内容、お取引金融機関によって異なる場合があります。必要な書類や原本の返却はお取引金融機関、相続税は税理士、相続人の間の争いは弁護士にご確認ください。
取引のある銀行が複数あると、それぞれに書類を用意して提出し、返事を待つことになります。どの銀行にどこまで出したのかが分からなくなると、出し忘れや、同じ書類の取り寄せ直しが起きやすくなります。この記事では、複数の銀行の相続手続きを並行して進めるときの段取りを整理します。
目次
- 銀行ごとに、書類の書式も必要な書類も違います
- 手をつける前に、各銀行に確認しておくこと
- 戸籍の束は、法定相続情報一覧図の写しで回す
- 原本の返却については、提出前に確認する
- どこまで進んだかを記録しておく
- 手続きの途中で必要になることがあるもの
- 行政書士・社会保険労務士に相談できること
銀行ごとに、書類の書式も必要な書類も違います
全国銀行協会は、預金の相続手続きの流れを、お取引金融機関への連絡、必要書類の準備、相続手続書類の提出、払戻し等の手続き、という順で案内しています。書類を提出する段階では、お取引金融機関所定の相続手続書類に記入し、相続人が署名・押印して提出します。書式は、金融機関ごとに決まっています。
必要な書類も、相続の方法や内容、お取引金融機関によって異なる場合があります。また、投資信託など預金以外の相続の手続きは、また別になると全国銀行協会は案内しています。
口座の凍結から解約までの流れは、銀行口座が凍結された時の対処法の記事で説明しています。
手をつける前に、各銀行に確認しておくこと
複数の銀行の手続きを始める前に、それぞれの銀行に次の点を確認しておくと、準備の二度手間を減らせます。
- 所定の相続手続書類の取り寄せ方
- その銀行で必要になる書類
- 一覧図の写しを使えるか
- 提出した書類を返してもらえるか、そのために何か申し出が必要か
- 手続きの窓口(支店か、相続の専門部署か)
提出する順番は、各銀行の答えを見てから、ご自身の都合に合わせて決めましょう。取引のある銀行が分からない場合の探し方は、相続財産の調べ方の記事で説明しています。書類が足りないと指摘されたときの確認の仕方は、銀行から相続書類の不足を指摘されたらの記事で整理しています。
戸籍の束は、法定相続情報一覧図の写しで回す
法務局の案内によると、法定相続情報一覧図の写しを使うと、複数の提出先に戸籍の束を出し直さなくてよくなります。ただし、一覧図の写しを使って手続きをする場合は、一覧図の写し以外に必要な書類を、あらかじめ利用先に確認するよう案内されています。使えるかどうかも、提出先に確認してください。
認証文付きの一覧図の写しの交付は、手数料がかかりません(戸籍を集める費用と郵送料は別にかかります)。申出や写しの交付は、郵送でもできます。
写しが追加で必要になったときは、再交付を受けられます。ただし、再交付を受けられるのは、当初の申出で申出人になった方だけです。一覧図は、申出日の翌年から5年間保存され、その間であれば再交付を受けられます。
一覧図の作り方は、法定相続情報一覧図の作り方の記事で説明しています。
原本の返却については、提出前に確認する
全国銀行協会の案内には、提出した戸籍などの原本の返却についての記載はありません。例として、ゆうちょ銀行は、必要書類の原本を提出する際に、戸籍謄本などの書類の返却を希望する場合は申し出るよう案内しています。
⚠ 原本の返却については、提出前に確認しましょう
原本の返却方法や手続きは、提出先の金融機関に確認してください。返却を希望する場合は、提出する前に申し出が必要かどうかも確認しておきましょう。
何部そろえればよいか、原本還付の考え方は、相続手続きに必要な書類一覧の記事で説明しています。
どこまで進んだかを記録しておく
複数の銀行を並行して進めるときは、次の項目を銀行ごとに記録しておくと、出し忘れや確認漏れを防げます。
- 金融機関名
- 連絡した日
- 所定の書類を受け取った日
- 提出した日
- 書類を返してもらう申し出をしたか
- 一覧図の写しを使えるか確認した結果
- 手続きが完了した日
例として、ゆうちょ銀行の案内では、窓口に相続確認表を提出した場合は、約1〜2週間で専門部署から郵送で案内が届きます。また、必要書類をすべて提出した後、払戻金を受け取るまでの目安は、ゆうちょ銀行の口座で受け取る場合は約1〜2週間、他の金融機関の口座で受け取る場合は約3〜4週間とされています。提出書類に不備がある場合などは、時間がかかる場合があるとも案内されています。これはゆうちょ銀行の案内で、ほかの銀行に当てはまるとは限りません。
手続きの途中で必要になることがあるもの
相続税の申告が必要になりそうな場合などに、残高証明書が必要になることがあります。発行には金融機関所定の手数料がかかります。取り寄せ方や手数料は、お取引金融機関に確認してください。相続税の申告が必要かどうかは、税理士に相談してください。
遺産分割が終わる前でも、相続人は、一定の範囲で単独で預金の払戻しを受けられます(民法909条の2)。払い戻せる額は、口座ごとに計算します。ただし、1つの金融機関から単独で払戻しを受けられる額は、相続人1人につき150万円が上限で、この上限は法務省令(平成30年法務省令第29号)で定められています。上限は同一の金融機関ごとに判断されるので、銀行が複数あれば、それぞれの銀行ごとに考えます。手続きの流れは、先ほどの凍結の記事で説明しています。
行政書士・社会保険労務士に相談できること
当事務所では、次のようなお手伝いができます。
- 戸籍の収集と相続人の調査
- 一覧図の申出の代理
- 相続人の間で合意ができている内容にもとづく、遺産分割協議書の作成
- 各銀行に提出する書類の準備と、進み具合の整理
相続人の間で意見が分かれた場合の調整や交渉は弁護士、相続税は税理士、相続登記は司法書士への相談をご案内します。
まとめ
取引のある銀行が複数あるときは、段取りを決めてから手をつけると進めやすくなります。
- 書類の書式も必要な書類も、銀行ごとに違う。手をつける前に、各銀行に確認する
- 戸籍の束は一覧図の写しで回し、提出した書類を返してもらえるかは、提出する前に確認する
- どの銀行にどこまで出したかを記録しておくと、出し忘れを防げる
銀行が複数あっても、確認と記録を先に決めておけば、手続きは一つずつ進められます。
相続のお手続きでお困りの方へ
うりずん相続手続き相談室では、取引のある銀行がいくつもあって、どこから手をつければよいか分からないという段階から、戸籍の収集による相続人調査、財産調査、遺産分割協議書の作成、銀行口座の解約手続きのサポート、遺族年金・未支給年金の請求支援など、行政書士・社会保険労務士として対応できる手続きを中心にお手伝いしています。相続登記や相続税申告、紛争対応が必要な場合には、提携する司法書士・税理士・弁護士と連携し、必要な専門家へ適切におつなぎします。市区町村や年金事務所での手続きに不安をお持ちの方も、どうぞ安心してご相談ください。
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