※この記事は2026年7月時点の情報に基づく一般的な解説です。手続きの窓口や必要書類は変更されることがあり、個別の事情によって進め方も異なります。実際の手続きは、川崎市・横浜地方法務局・各金融機関、または専門家にご確認ください。
「川崎市内に実家があり、親から相続することになった。でも、土地や建物の手続きは何から始めればいいのか分からない」——相続のご相談のなかでも、不動産についてのお悩みは特に多いものです。
預貯金と違い、不動産は「どこに」「どれだけ」あるのかを把握すること自体が簡単ではありません。名義の確認や名義変更にも、いくつかの段階があります。しかも、川崎市内の不動産でも、区によって手続きをする法務局が分かれます。
この記事では、川崎市内の土地や建物を相続したときに、まず何を確認し、どの順番で進めればよいかを、川崎の行政書士が整理します。相続手続き全体の流れではなく、「相続した不動産をどう扱うか」に絞ってご案内します。
目次
- 川崎市内の不動産を相続したら、まず全体像を確認する
- どんな不動産があるか調べる|名寄帳・固定資産税納税通知書・登記事項証明書
- 名寄帳だけではわからないこと
- 名義変更(相続登記)の進め方と期限
- 注意したいケース|共有名義・古い名義・未登記建物
- 空き家になりそうなときに考えること
- うりずんに相談できること
川崎市内の不動産を相続したら、まず全体像を確認する
不動産の相続は、大きく次の流れで進みます。
- どんな不動産があるかを調べる(不動産の把握)
- 名義や権利関係を確認する
- 誰が相続するかを決める(遺産分割協議)
- 名義を変更する(相続登記)
- 必要に応じて、管理・売却などを検討する
このうち、最初の「どんな不動産があるかを調べる」が、意外と見落とされがちです。実家の土地建物は分かっていても、被相続人が別の場所に土地を持っていた、私道の持ち分があった、というケースは珍しくありません。まずは、相続する不動産の全体像を正確につかむことが出発点になります。
なお、相続手続き全体の流れや、川崎市の相続手続き全体の窓口については、別の記事で解説しています。この記事は、不動産にしぼってご案内します。
どんな不動産があるか調べる|名寄帳・固定資産税納税通知書・登記事項証明書
被相続人がどんな不動産を持っていたかを調べるには、主に次の3つの資料を使います。
固定資産税納税通知書(課税明細書)
毎年春ごろに市から届く、固定資産税の納税通知書です。同封されている課税明細書に、その市内で課税されている土地・建物が一覧で載っています。手元にあれば、まず確認したい資料です。
名寄帳(なよせちょう)
名寄帳は、その市区町村内で被相続人が所有する土地・家屋を、所有者ごとにまとめた一覧です。川崎市内の不動産であれば、川崎市の担当課(市税事務所など)で取得できます。窓口のほか、郵送やオンラインでの請求もできます。取得手数料は1件につき300円です。相続人が請求する場合は、被相続人が亡くなったことと、自分が相続人であることがわかる戸籍などの書類が必要です。請求先や必要書類は、不動産の所在地である川崎市の案内で事前に確認しておくと確実です。
課税明細書は手元にある分しか確認できませんが、名寄帳を取れば、市が把握している被相続人名義の不動産をまとめて確認できます。「実家以外にも持っていたかもしれない」というときに役立ちます。
登記事項証明書(登記簿)
法務局で取得できる、不動産の登記情報です。土地・建物ごとに、所在・地番・面積・所有者・抵当権などの権利関係が記録されています。名寄帳などで不動産を特定したら、登記事項証明書で名義や権利関係を確認します。登記事項証明書は、どこの法務局でも全国の不動産のものを取得できます。
名寄帳は市区町村の資産税課、登記事項証明書は法務局、と取得先が異なります。法務局や税務署では名寄帳は取れませんので、注意しましょう。
名寄帳だけではわからないこと
不動産の調査で気をつけたいのが、名寄帳にも「載らないもの」があるという点です。名寄帳を過信すると、相続する不動産を見落とすことがあります。
主に、次のようなケースに注意が必要です。
- 固定資産税がかからない不動産:私道や公衆用道路などは、固定資産税が非課税のため、名寄帳に載らないことがあります。こうした不動産は、別途、市の担当課で評価証明書(未登録証明書)などを取得して確認が必要になる場合があります。
- 他の市区町村にある不動産:名寄帳は、その市区町村内の不動産しか載りません。被相続人が川崎市外にも不動産を持っていた場合は、その市区町村ごとに名寄帳を取る必要があります。
- 共有名義の不動産:不動産を誰かと共有していた場合、固定資産税の課税明細書は共有者の代表者にしか届きません。被相続人が代表者でなければ、通知書だけでは気づけないことがあります。
こうした「見落としやすい不動産」を調べる手段として、国では、被相続人名義の不動産を全国からまとめて確認できる新しい制度の導入が予定されています。所有不動産記録証明制度について解説した記事もありますので、あわせてご覧ください。相続する不動産が各地にありそうな場合や、把握しきれない場合には、こうした制度の活用も選択肢になります。
名義変更(相続登記)の進め方と期限
相続する不動産と権利関係が確認できたら、次は名義変更です。不動産を相続した人へ名義を移す手続きを、相続登記といいます。
相続登記をするには、一般的に次のような準備が必要です。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍など、相続人を確定させる書類
- 誰がどの不動産を相続するかを決めた、遺産分割協議書(遺言がある場合は遺言書)
- 相続する不動産の登記事項証明書、固定資産評価証明書 など
相続人を確定させるための戸籍の収集や、遺産分割協議書の作成は、相続登記の前提となる大切な準備です。これらについては、戸籍の収集や遺産分割協議書の作成をくわしく解説した記事もあります。
ここで知っておきたいのが、相続登記には期限があるということです。2024年4月から相続登記が義務化され、不動産を相続で取得したことを知った日から一定期間内に登記をする必要があります。正当な理由なく手続きをしないと、過料の対象になることもあります。相続登記の義務化の詳しい内容は、別の記事で解説していますので、そちらをご確認ください。
川崎市内の不動産の相続登記は、不動産の所在地を管轄する法務局へ申請します。川崎市内でも、区によって管轄が分かれます。
| 管轄する法務局 | 川崎市内の管轄区 | 所在地・電話 |
|---|---|---|
| 横浜地方法務局 川崎支局 | 川崎区・幸区・中原区 | 〒210-0012 川崎区宮前町12-11/044-244-4166 |
| 横浜地方法務局 麻生出張所 | 高津区・宮前区・多摩区・麻生区 | 〒215-0021 麻生区上麻生1-3-14 川崎西合同庁舎/044-955-2222 |
管轄は、相続人の住所ではなく、不動産の所在地で決まります。たとえば、川崎区にある実家を、多摩区に住む方が相続する場合、申請先は川崎区を管轄する川崎支局です。
なお、相続登記の申請そのものは、司法書士が専門とする業務です。行政書士であるうりずんは、戸籍の収集や遺産分割協議書の作成など、登記の前の準備をお手伝いし、相続登記の申請については、連携する司法書士におつなぎします。
注意したいケース|共有名義・古い名義・未登記建物
相続した不動産の登記を確認すると、そのままでは手続きが進めにくいケースが見つかることがあります。代表的なものを挙げておきます。
共有名義になっている
土地や建物が、被相続人と他の人との共有になっていることがあります。共有持分も相続の対象です。共有者が多いと、後の管理や売却で全員の合意が必要になり、手続きが複雑になることがあります。
名義が古いままになっている
登記を確認すると、名義が被相続人ではなく、すでに亡くなった祖父母など、さらに前の代のままになっていることがあります。この場合、その代までさかのぼって相続人を確定させ、順番に手続きをする必要があり、相続人が多数にのぼることもあります。名義が長く変更されていない不動産は、早めに確認しておくと安心です。
未登記の建物がある
増築部分や古い建物などで、そもそも登記がされていない建物が見つかることがあります。未登記の建物は登記簿に出てこないため、固定資産税の課税明細などから把握します。相続後には、状況に応じて、表題登記などの追加の手続きが必要になることがあります。
いずれのケースも、状況によって進め方が変わります。登記を見て「あれ?」と思うことがあれば、早めに専門家に相談すると、その後の手続きがスムーズです。
空き家になりそうなときに考えること
相続した実家に誰も住まない場合、その不動産は空き家になります。空き家は、そのままにしておくと、管理の負担や近隣への影響など、さまざまな課題が生じます。
大きくは、次のような選択肢を検討することになります。
- 管理して残す:誰かが定期的に管理する、将来的に活用する
- 売却する:住む予定がなければ、売却して現金化する
- 活用する:賃貸に出すなど、活用の方法を考える
どの選択にも、税金や費用、手続きが関わってきます。売却する場合の税金(譲渡所得税など)は税理士、実際の売却は不動産会社と、それぞれの専門家が関わります。相続した不動産をどうするかは、ご家族の事情や不動産の状況によって最適な答えが変わるため、早めに全体像を整理しておくことが大切です。
うりずんに相談できること
うりずん相続手続き相談室では、行政書士・社会保険労務士として、戸籍の収集による相続人調査、財産調査、遺産分割協議書の作成、銀行口座の解約手続きのサポート、遺族年金・未支給年金に関する必要書類の整理や請求支援など、対応できる手続きを中心にお手伝いしています。相続した不動産についても、どんな不動産があるかの調査や、遺産分割協議書の作成など、名義変更の前の準備をお手伝いできます。
相続のお手続きでお困りの方へ
相続登記の申請は司法書士、譲渡所得や相続税の判断は税理士、不動産の売却は不動産会社と、必要に応じて連携し、適切な専門家へおつなぎします。相続登記や相続税申告、紛争対応が必要な場合には、提携する司法書士・税理士・弁護士と連携します。
川崎・横浜エリアを中心に、初回のご相談は60分無料・土日祝もご予約可能・秘密厳守・お問い合わせには翌営業日までにご返信しています。お電話・LINE・お問い合わせフォームから、お気軽にご連絡ください。
事務所は川崎区中島にあり、川崎市内の不動産の相続に地元の専門家として対応しています。横浜市で相続手続きをする場合の窓口については、別の記事でまとめていますので、横浜市の不動産の方はそちらもご覧ください。「実家をどうすればいいか分からない」「不動産が何があるのか把握できていない」——そうした段階からのご相談も承っていますので、どうぞお気軽にお声がけください。
まとめ
- 川崎市内の不動産を相続したら、まず「どんな不動産があるか」を調べることから始めます。固定資産税の課税明細書、名寄帳、登記事項証明書が主な資料です。
- 名寄帳は川崎市の担当課(市税事務所など)で取得できますが、非課税の私道、他市区町村の不動産、共有名義の不動産など、名寄帳だけではわからないものもあります。見落としを防ぐため、複数の資料で確認しましょう。
- 名義変更(相続登記)には、戸籍の収集や遺産分割協議書の作成といった準備が必要です。相続登記は2024年4月から義務化され、期限があります。
- 川崎市内の不動産の登記は、不動産の所在地によって、川崎支局(川崎区・幸区・中原区)と麻生出張所(高津区・宮前区・多摩区・麻生区)に管轄が分かれます。
- 共有名義、古い名義、未登記建物など、そのままでは進めにくいケースもあります。登記で気になる点があれば早めに確認しましょう。
- 空き家になりそうな場合は、管理・売却・活用の選択肢を早めに整理しておくと安心です。
- うりずんは不動産の調査や遺産分割協議書の作成など名義変更前の準備をお手伝いし、登記は司法書士、税は税理士、売却は不動産会社と連携します。