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川崎市の終活支援事業とは|未来あんしんサポート事業でできること、できないこと

掲載:Officeうりずん社会保険労務士・行政書士事務所 代表・資格情報

相談室で78歳の女性が行政書士と向かい合い、川崎市の終活支援事業の利用条件について相談しているイラスト

※この記事は2026年9月時点の情報に基づく一般的な解説です。市が実施する終活支援の仕組みは、対象となる方の条件や費用、受けられるサービスの内容が定められており、内容は改定されることがあります。川崎市未来あんしんサポート事業については川崎市社会福祉協議会の終活支援課、遺言や相続の法律相談については弁護士、相続登記については司法書士、相続税については税理士、遺言書や契約書の作成については行政書士にご確認ください。

先日、体調を崩して入院することになりました。受付で渡された申込書に「身元保証人」の欄があり、そこで手が止まりました。

夫は10年前に亡くなり、子どもはいません。葬儀や埋葬を頼める親族もいません。頼める人が思い当たらず、その場では「いません」と伝えるしかありませんでした。

退院してから、亡くなった後のことも気になるようになりました。葬儀やお墓、家の片づけを誰に頼めばよいのか、決まっていません。民間のサービスもあるようですが、その前に、公的な相談先があるのかを知りたい——そうしたご相談をいただきます。

このコラムでは、川崎市で実施されている終活支援の事業について、できることと、できないことを整理します。


目次

  1. 入院のとき、身元保証人の欄が書けなかった
  2. 川崎市には、社会福祉協議会が実施している終活支援の事業があります
  3. 使えるのは、8つの条件をすべて満たす方です
  4. 身元保証とは別の仕組みです
  5. 費用がかかります
  6. 申込みから契約までの流れ
  7. 要件に当てはまらないとき、相談だけしたいとき
  8. ご相談いただけること
入院のときに身元保証人を頼める人がいなかった78歳の女性が、川崎市の終活支援事業について行政書士から説明を受けている様子を描いたイラスト

入院のとき、身元保証人の欄が書けなかった

入院や施設への入所を申し込むとき、申込書に保証人の欄があることがあります。

パンフレットのQ&Aでは、「入院や入所の際に、『保証人』『連帯保証人』『引受人』『身元引受人』『緊急連絡先』等様々な名目で人を立てることを求められることがあります」と説明されています。そのうえで、身内や知人がいない場合は、まず入院先や入所先にその旨を伝え、同じような状況の方はどうしているのか相談してみるよう案内されています。

今回のご相談では、入院のときの保証人だけでなく、亡くなった後の葬儀やお墓、家財の片づけについても、まだ頼む相手が決まっていません。

このようなときに、川崎市で利用できる仕組みがあります。


川崎市には、社会福祉協議会が実施している終活支援の事業があります

川崎市は、「川崎市終活支援事業(川崎市未来あんしんサポート事業)」を実施しています。

市のページでは、「支援を受けられる親族がいない市内在住の高齢者の方等を対象に、逝去後の葬儀埋葬や各種届出等を行う、終活支援事業を実施しています」と説明されています。そして、「本事業は社会福祉法人川崎市社会福祉協議会が実施しています」と案内されています。

つまり、市が直接サービスを行うのではなく、社会福祉協議会と契約を結んで利用する仕組みです。

パンフレットでは、3つの柱が挙げられています。

  • 生前見守り:定期的な確認により、健康状態や希望の内容に変更がないかを確認する
  • 葬儀・埋葬:預託金を預かり、希望に沿った葬儀・埋葬を行う
  • 遺言作成支援・執行:公正証書遺言の作成を支援し、遺言執行者になってもらう専門家(士業)を紹介する

生前見守りについて、パンフレットでは「月に1回の電話」「6か月に1回の訪問」による定期確認が案内されています。

⚠ 「未来あんしんサポート事業」と「未来あんしんサポートノート」は別のものです
川崎市には、名前のよく似た「川崎市エンディングノート(未来あんしんサポートノート)」があります。こちらは各区役所などで配布されているノートで、この事業とは別のものです。

エンディングノートについてはエンディングノートの書き方で解説しています。

なお、国でも動きがあります。2026年6月には、頼れる身寄りがいない高齢者等への日常生活支援、入院等の手続支援、死後事務支援を第二種社会福祉事業に位置づける改正法が公布されました。この規定の施行日は、公布から2年を超えない範囲で政令で定める日とされています。


使えるのは、8つの条件をすべて満たす方です

この事業には、はっきりした条件があります。パンフレットでは「次の条件の全てにあてはまる方を対象者とします」として、次の8つが挙げられています。

  • 川崎市内在住で原則65歳以上であること
  • 葬儀や埋葬を行える親族がいないこと
  • 申し込み時点で生活保護を受けていないこと
  • 葬儀・埋葬に必要な預託金を納められること
  • 入会金、年会費、事務管理費を納められること
  • 公正証書遺言により遺言執行者を指定すること
  • 親族間の相続等について紛争がないこと
  • 契約能力があること

一つでも当てはまらない場合は、対象になりません。

⚠ お子さんやお孫さんがいる場合は、原則として対象外です
パンフレットのQ&Aでは「子や孫(直系卑属)がいるときは…利用対象外です」とされています。ただし、子や孫がいても長期間にわたり音信不通である場合や、病気や障害によって葬儀や埋葬を行うことが困難な場合は、相談するよう案内されています。

「川崎市内在住」については、住民登録までは必須とされておらず、市内に居所があれば対象になると説明されています。施設に入所中や入院中でも、市内に居所があれば対象です。

一方で、市外へ転居した場合は、原則として解約になります。6か月に1回の訪問が難しくなるためです。ただし、市外の施設への入所や入院については、所在地や期間などの実態を踏まえて、契約を続けられるかどうかが判断されるとされています。


身元保証とは別の仕組みです

ここが、この事業でいちばん誤解されやすいところです。

パンフレットのQ&Aには、「本事業は、生前見守りと財産処分を含んだ死後事務委任契約であり、身元保証事業とは異なります」と明記されています。

つまり、この事業を契約しても、入院や入所のときの保証人になってもらえるわけではありません。

⚠ 保証人にはなってもらえません
パンフレットのQ&Aでは、債務保証について「保証人や連帯保証人になることはできません」とされています。ただし、その他の支払い費用として預けた預託金Cの限度内で、本人の債務の支払いを保証する、と説明されています。

身元保証を求められる場面ごとの対応は、次のように整理されています。

求められること事業での対応
保証人・連帯保証人なってもらえない。ただし、その他の支払い費用として預けた預託金Cの限度内で、本人の債務の支払いを保証
医療に関する同意対応していない(本人が決めることとされている)
入院時・急変時の駆けつけ有償の入退院の付き添いには対応。緊急など予定外の駆けつけは対応していない
入院・入所時の連絡先連絡先としては差し支えない(急変時の駆けつけは対応していない)
ご遺体の引き取り対応する(あらかじめ取り決めた葬儀社へ連絡し、安置場所へ移す)

駆けつけについては、営業時間内の連絡には対応するとされています。

医療に関する同意について、パンフレットでは、医療行為は患者本人が決定・同意するものであることから対応していない、と説明されています。そのうえで、医療に関する希望を書いた書面をあらかじめ用意しておき、必要になったときに医療機関に提示する方法は可能とされています。

身元保証、死後事務委任、任意後見はそれぞれ役割が違います。違いについては任意後見・身元保証・死後事務委任の違いで解説しています。民間のサービスを検討する際に確認したい点は、身元保証・終身サポートのトラブル事例で扱っています。


費用がかかります

この事業は、無料の福祉サービスではありません。

パンフレットに記載されている費用は、次のとおりです。

項目金額
入会金20,000円(介護保険料段階が第3段階以下の方は10,000円)
年会費9,600円(年度途中の加入は月割り)
預託金600,000円以上(A 遺言執行報酬の充当分30万円/B 葬儀・埋葬の費用30万円〜/C 希望によりその他の支払い費用)
事務管理費預託金BとCの合計額の10%

このほか、書類等の預かりや通院・入院の付き添いは別途有償で、職員の対応が可能な場合に限って実施されるとされています。預託金以外には、別途消費税がかかります。

預託金は分納ができず、一括での納付です。解約は本人の申し出でいつでもでき、その時点で預かっている預託金は返金されますが、入会金・年会費・事務管理費は返金されません。

⚠ 金額はパンフレット(令和8年度版)時点のものです
費用は改定されることがあります。実際に検討されるときは、川崎市社会福祉協議会の終活支援課にご確認ください。


申込みから契約までの流れ

パンフレットでは、次の6つの段階が示されています。

  • 相談受付:連絡して面接の日程を調整する
  • 面接:事務所または自宅で、制度の概要の説明を受ける
  • 申し込み:申込書を提出し、葬儀や埋葬の希望を伝える
  • 支援内容等の検討・確認:条件を満たしているかと、葬儀・埋葬の費用を確認する
  • 公正証書遺言の作成:公証役場で作成する。専門家(士業)を紹介される
  • 契約:契約書の締結と預託金等の支払いで有効になる

パンフレットでは、「申込書の提出で、契約の成立とはなりません」「面接は、複数回行う場合があります」と説明されています。

この事業を利用するには、公正証書遺言を作ることが必要です。 公正証書遺言の作成費用は本人の負担で、公証人手数料と、専門家(士業)への報酬が含まれると案内されています。

すでに公正証書遺言がある場合は、あらためて作り直す必要はないとされています。ただし、扱いが2つに分かれます。遺言執行者が指定されている場合は、社会福祉協議会と契約したことについて遺言執行者との打ち合わせが必要になり、遺言の写しの提出も求められます。遺言執行者が指定されていない場合は、社会福祉協議会が紹介する専門家(士業)が遺言執行者となる旨を、遺言に追加する必要があります。


要件に当てはまらないとき、相談だけしたいとき

8つの条件に当てはまらない場合や、契約まではまだ考えていない場合でも、相談できる窓口があります。

川崎市は、終活に関する相談窓口を川崎市社会福祉協議会あんしんセンターに設置しています。相談内容の例として、終活の始め方、遺言書の作成、葬儀やお墓、亡くなった後の家財処分、将来のお金の管理、頼れる親族がいないことなどが挙げられています。相談は電話・メール・窓口で受け付けており、受付時間は月曜日から金曜日の午前9時から午後5時まで(祝日・年末年始を除く)です。

遺言や相続など、専門的な知識を要する相談については、終活の実務を行っている弁護士が法律相談として受けると案内されています。相談料は無料、予約制で、原則として1人1回・45分まで、対象は川崎市内在住の方、相談日は月1回程度です。

なお、この事業は、本人があらかじめ決めた希望を実行する仕組みです。何をどうしてほしいかは、本人が決めておく必要があります。

エンディングノートについては、実施主体である川崎市社会福祉協議会自身が「遺言書のような法的拘束力はありません」と説明しています。亡くなった後の財産について自分の希望を法的に残す方法の一つが、遺言書です。

市の事業とは別に、自分の希望をあらかじめ整理したり、必要に応じて契約で決めておく方法もあります。どの方法が必要かは、希望する支援の内容やご家族の状況によって異なります。おひとりさまの生前契約についてはおひとりさまに必要な生前契約セットで、終活全体の進め方についてはおひとりさまの終活完全ガイドで解説しています。


ご相談いただけること

うりずん相続手続き相談室では、行政書士として、書類の準備をお手伝いしています。

  • 遺言書や契約書の文案の作成(争いのない案件)
  • 戸籍の収集と相続関係の整理
  • 書類の作成についてのご相談

川崎・横浜での終活の始め方は川崎・横浜で終活を始めるならで整理しています。

遺言や相続の法律相談、相続人の間で争いがある場合は弁護士、相続登記は司法書士、相続税は税理士の業務です。必要に応じて、提携する専門家におつなぎします。


まとめ

川崎市の終活支援事業について、できることとできないことを整理しました。

川崎市には、社会福祉協議会が実施している終活支援の事業があります。 預託金を預かり、生前の見守り、葬儀・埋葬、各種届出、公正証書遺言の作成支援や、紹介された専門家による遺言執行までを含む仕組みです。

使えるのは、8つの条件をすべて満たす方です。 お子さんやお孫さんがいる場合は、原則として対象外とされています。ただし、長期間音信不通である場合など、葬儀や埋葬を行うことが困難な事情があるときは、相談するよう案内されています。

身元保証とは別の仕組みです。 入院や入所のときの保証人にはなってもらえません。医療に関する同意も扱わないとされています。

費用がかかります。 入会金、年会費、預託金、事務管理費が必要で、公正証書遺言を作ることも条件になっています。

相談だけなら、窓口があります。 遺言や相続の法律相談は、弁護士が担当すると案内されています。

相続のお手続きでお困りの方へ

うりずん相続手続き相談室では、相続人調査や相続財産の調査からお手伝いしています。戸籍の収集、相続関係の整理、争いのない案件での遺産分割協議書案の作成など、行政書士として対応できる手続きを承ります。相続登記や相続税、相続人の間で争いがある場合には、提携する司法書士・税理士・弁護士と連携し、必要な専門家へ適切におつなぎします。まずはお話をお聞かせください。どうぞ安心してご相談ください。

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