※この記事は2026年7月時点の情報に基づく一般的な解説です。区役所の窓口・受付時間・取扱業務は変更されることがあります。お出かけの前に、川崎市の公式サイトまたは各区役所へ電話でご確認ください。

「父が亡くなって、区役所に行かなければならないけれど、何をどの順番で、どの窓口でやればいいのか分からない」——川崎市にお住まいの方から、よくいただくご相談です。

相続の手続きは、区役所だけで完結するものではありません。区役所でできること、法務局や税務署でしかできないこと、期限があるものとないもの——これらが入り混じっているため、順番を間違えると何度も足を運ぶことになります。

この記事では、川崎市で相続が起きたときに、区役所で何を、どの順番で進めればよいかを整理します。あわせて、川崎市7区の区役所の窓口情報と、2024年に始まった「戸籍の広域交付」で意外とつまずきやすいポイントを、川崎の行政書士がやさしく解説します。


目次

  1. 川崎市で相続が起きたら、まず何をするか
  2. 死亡届・火葬許可|7日以内に区役所へ
  3. 戸籍の収集|相続人調査のいちばんの山場
  4. 【要注意】広域交付で「取れない戸籍」があります
  5. 住民票・除票・印鑑証明|住所地の区役所で
  6. 年金・健康保険の手続き|区役所の保険年金課へ
  7. 川崎市7区の区役所一覧
  8. 区役所ではできない手続きもあります
  9. うりずんに相談できること
川崎市の区役所で死亡届や戸籍の収集を進めながら、広域交付で取れない戸籍に気づき、行政書士と手続きの順番を整理する家族のイラスト
川崎市で相続が起きたときに、区役所での手続きを順番に進め、つまずきやすい点を専門家と整理するまでの流れ

川崎市で相続が起きたら、まず何をするか

相続の手続きには、期限があるものと、急がなくてよいものがあります。まずは全体像をつかんでおきましょう。

すぐに(7日以内)

  • 死亡届の提出と、火葬許可証の受け取り(区役所区民課)

早めに(14日前後をめやすに)

  • 年金の受給停止、健康保険・介護保険の資格喪失の手続き(区役所の担当窓口)
  • 世帯主変更の届出(必要な場合)

落ち着いてから、しかし着実に

  • 戸籍の収集(相続人の調査)
  • 財産の調査(預貯金・不動産・保険など)
  • 遺産分割の話し合いと、遺産分割協議書の作成
  • 銀行口座の解約、不動産の相続登記、必要な場合は相続税の申告

このうち、区役所で行うのは主に前半です。死亡届、戸籍や住民票の取得、年金・保険の手続きなど。後半の相続登記や相続税は、区役所ではなく法務局や税務署の管轄になります。

亡くなった直後にやるべきことの全体像は、別の記事でも整理しています。あわせてご覧ください。


死亡届・火葬許可|7日以内に区役所へ

相続手続きの最初の一歩が、死亡届の提出です。

期限:亡くなったことを知った日から7日以内 提出先:亡くなった場所、亡くなった方の本籍地、または届出をする方の所在地のいずれかの市区町村 窓口:区役所の区民課

死亡届を提出すると、火葬許可証が交付されます。これがないと火葬ができないため、葬儀社との段取りにも直結します。実際には、葬儀社が死亡届の提出を代行してくれるケースも多くあります。

注意したいのが、窓口によって取扱いが異なる点です。 川崎市には、区役所のほかに支所(大師支所・田島支所)と出張所(日吉・橘・向丘・生田)がありますが、出張所では戸籍の届出の受付を行っていません。支所については取扱いが異なる場合がありますので、訪問前に、各区役所の区民課へ電話で確認することをおすすめします。

なお、死亡届を出すと、その情報は年金や健康保険の手続きにも関わってきますが、すべてが自動で連携されるわけではありません。年金の受給停止など、別途手続きが必要なものがあります。


戸籍の収集|相続人調査のいちばんの山場

相続手続きで、多くの方がもっとも時間と手間を取られるのが、戸籍の収集です。

なぜ戸籍を集めるのかというと、「誰が相続人なのか」を法的に確定させるためです。銀行の口座解約でも、不動産の相続登記でも、遺産分割協議書の作成でも、「相続人はこの人たちで全員です」ということを、戸籍で証明する必要があります。

そのために必要なのが、亡くなった方の出生から死亡までの、連続した戸籍です。婚姻や転籍、戸籍のコンピュータ化などで戸籍は何度も作り替えられているため、一つの戸籍だけでは足りません。過去にさかのぼって、途切れなくつなげる必要があります。

ここで朗報があります。2024年3月1日から「戸籍の広域交付」という制度が始まりました。 これは、本籍地が全国のどこにあっても、最寄りの区役所の窓口で、まとめて戸籍を請求できるという制度です。川崎市にお住まいの方なら、お住まいの区の区役所で、遠方の本籍地の戸籍も取得できるようになりました。

以前は、本籍地が移るたびに、その市区町村ごとに郵送で請求する必要があり、何週間もかかることがありました。それが、窓口で一度に請求できるようになったのは、大きな進歩です。

ただし——この制度には、相続の場面で必ずつまずくポイントがあります。次の章で詳しく説明します。

戸籍の収集のしかたそのものについては、別の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください


【要注意】広域交付で「取れない戸籍」があります

「広域交付で楽になった」と聞いて区役所に行き、窓口で「それはこの制度では取れません」と言われて戸惑う——実は、これがとても多いのです。相続の場面で特に問題になる制限を、整理しておきます。

① 兄弟姉妹の戸籍は取れません

広域交付で請求できるのは、本人・配偶者・直系尊属(父母、祖父母など)・直系卑属(子、孫など)の戸籍に限られます。兄弟姉妹やおじ・おばの戸籍は対象外です。

これは、子どもがいない方が亡くなり、兄弟姉妹が相続人になるケースで大きな壁になります。この場合は、従来どおり本籍地の市区町村に請求する必要があります。

② 代理人による請求ができません

広域交付は、請求する本人が窓口に行く必要があります。郵送での請求も、家族による代理請求もできません。

また、行政書士・司法書士などの専門家が行う「職務上請求」も、広域交付の対象外とされています。専門家が代理で戸籍を集める場合は、従来どおり、本籍地の市区町村へ請求することになります。

なお、これは「専門家に頼めない」という意味ではありません。専門家は従来の方法(本籍地への請求)で戸籍を収集できますので、ご自身で集めるのが難しい場合は、これまでどおりお手伝いできます。実務では、ご本人が広域交付で取得できる分はご自身で取っていただき、対象外の戸籍を専門家が代理請求する、という組み合わせで進めることもあります。

③ 戸籍の附票は取れません

不動産の相続登記では、亡くなった方の住所と登記簿上の所有者が同一人物であることを証明するために、「戸籍の附票」が必要になることがあります。この戸籍の附票は、広域交付の対象外です。本籍地の市区町村に請求することになります。

④ 古い戸籍は取れないことがあります

コンピュータ化されていない一部の戸籍・除籍は、広域交付では取得できません。出生が古い方の戸籍をさかのぼると、手書きの古い戸籍にたどりつくことがあり、その場合は本籍地への請求が必要になります。

⑤ 配偶者が請求する場合、婚姻後の戸籍に限られることがあります

夫を亡くした妻が、夫の出生からの戸籍を広域交付で取ろうとしても、婚姻後の戸籍しか取得できないケースがあると指摘されています。相続に必要なのは出生から死亡までの連続した戸籍ですので、これでは足りません。

ただし、この点は自治体によって運用が異なることがあり、窓口で事情を説明すれば取得できるケースもあるようです。事前に区役所の区民課へ電話で相談してから出向くと、無駄足を防げます。

⑥ その場でもらえないことがあります

現在の戸籍は即日交付されることが多いのですが、除籍謄本や改製原戸籍謄本は、数営業日かかるという運用をしている自治体があります。「今日行けば全部揃う」と思っていると、あてが外れることがあります。

まとめると、広域交付は便利ですが、これだけで相続に必要な戸籍がすべて揃うとは限りません。特に、兄弟姉妹が相続人になるケースや、古い戸籍をさかのぼる必要があるケースでは、従来どおりの請求を組み合わせることになります。

窓口に行く前に、その区役所の区民課へ電話して、必要な戸籍が広域交付で取れるかどうかを確認することをおすすめします。二度手間を防げます。


住民票・除票・印鑑証明|住所地の区役所で

戸籍のほかにも、相続手続きではいくつかの証明書が必要になります。

住民票の除票:亡くなった方の住所を証明する書類です。相続登記などで必要になることがあります。亡くなった方が最後に住んでいた住所地の区役所で取得します。

相続人の住民票:遺産分割協議書の作成や、各種手続きで必要になります。

印鑑登録証明書:遺産分割協議書には、相続人全員の実印と印鑑登録証明書が必要になるのが一般的です。相続人それぞれが、ご自身の住所地の市区町村で取得します。

川崎市では、土日でも住民票の写しなどが取得できる「行政サービスコーナー」があります。平日に区役所へ行くのが難しい方は、こちらも選択肢になります。ただし、取り扱える証明書の種類には限りがありますので、事前に川崎市の公式サイトでご確認ください。


年金・健康保険の手続き|区役所の保険年金課へ

年金と健康保険は、期限が短く、忘れやすい手続きです。

年金の受給停止:亡くなった方が年金を受け取っていた場合、受給を止める手続きが必要です。手続きをしないまま年金を受け取り続けると、後で返還を求められることになります。

未支給年金の請求:亡くなった月分までの年金で、まだ受け取っていないものがあれば、生計を同じくしていた遺族が請求できます。これは「請求しないともらえない」お金です。

遺族年金:要件を満たす場合、配偶者やお子さんが遺族年金を受け取れることがあります。

健康保険・介護保険の資格喪失:国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していた場合、保険証の返却と資格喪失の手続きが必要です。窓口は区役所の保険年金課です。

年金の手続きは、加入していた制度によって窓口が分かれます。国民年金(第1号被保険者)に関する手続きは区役所の保険年金課厚生年金や遺族厚生年金に関する手続きは年金事務所が窓口になるのが基本です。ただし、亡くなった方の年金の種類やご遺族の状況によって取扱いが変わることがありますので、迷ったら窓口や専門家に確認してください。

なお、健康保険・介護保険の資格喪失の手続きは、区役所の保険年金課が窓口です。

遺族年金・未支給年金については、別の記事でも詳しく解説しています


川崎市7区の区役所一覧

川崎市には7つの区があります。それぞれの区役所の所在地と連絡先をまとめました。

所在地電話(総合案内)
川崎区役所〒210-8570 川崎区東田町8番地(パレール三井ビル)044-201-3113
幸区役所〒212-8570 幸区戸手本町1-11-1044-556-6666
中原区役所〒211-8570 中原区小杉町3-245044-744-3113
高津区役所〒213-8570 高津区下作延2-8-1044-861-3113
宮前区役所〒216-8570 宮前区宮前平2-20-5044-856-3113
多摩区役所〒214-8570 多摩区登戸1775-1044-935-3113
麻生区役所〒215-8570 麻生区万福寺1-5-1044-965-5100

開庁時間:月曜日から金曜日の午前8時30分から午後5時まで(祝休日、12月29日から1月3日を除く)

市政全般の問い合わせ窓口として、「サンキューコールかわさき」(電話 044-200-3939・午前8時から午後9時・年中無休)もあります。「どの窓口に行けばよいか分からない」というときは、まずここに聞いてみるのも一つの方法です。

※窓口・受付時間・取扱業務は変更されることがあります。お出かけの前に、川崎市の公式サイトまたは各区役所へご確認ください。


区役所ではできない手続きもあります

相続の手続きは、区役所だけでは完結しません。どこへ行けばよいかを知っておくと、無駄足を防げます。

不動産の相続登記 → 法務局 実家などの不動産を相続したときの名義変更(相続登記)は、区役所ではなく法務局で行います。2024年4月から相続登記が義務化され、原則として3年以内に申請する必要があります。登記の申請手続きは、司法書士の業務です。相続登記の義務化については、別の記事で解説しています

相続税の申告 → 税務署 相続税がかかる場合の申告先は税務署です。申告期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内。相続税の計算や申告は、税理士の業務になります。

相続人の間で争いがある場合 → 弁護士・家庭裁判所 遺産分割の話し合いがまとまらない、他の相続人と対立している——こうした場合の交渉や調停の代理は、弁護士の業務です。

銀行口座の解約 → 各金融機関 亡くなった方の預貯金の解約・払い戻しは、それぞれの金融機関の窓口で手続きします。金融機関ごとに必要書類や様式が異なるため、手間がかかる部分です。

このように、相続の手続きは複数の窓口にまたがります。「どこで、何を、いつまでに」を整理してから動くことが、遠回りを防ぐコツです。


うりずんに相談できること

「区役所に行ったが、戸籍が全部は取れなかった」「何度も足を運んでいるのに、手続きが進まない」——川崎で相続手続きをされている方から、よくお聞きするお悩みです。

相続のお手続きでお困りの方へ

うりずん相続手続き相談室では、戸籍の収集による相続人調査、財産調査、遺産分割協議書の作成、銀行口座の解約手続きのサポート、遺族年金・未支給年金の請求支援など、行政書士・社会保険労務士として対応できる手続きを中心にお手伝いしています。相続登記や相続税申告、紛争対応が必要な場合には、提携する司法書士・税理士・弁護士と連携し、必要な専門家へ適切におつなぎします。

川崎・横浜エリアを中心に、初回のご相談は60分無料・土日祝もご予約可能・秘密厳守・お問い合わせには翌営業日までにご返信しています。お電話・LINE・お問い合わせフォームから、お気軽にご連絡ください。

事務所は川崎区中島にあり、川崎市内はもちろん、横浜市を含む近隣エリアからのご相談も承っています。区役所の窓口が平日しか開いていないこともあり、お仕事をされている方にとって、相続手続きは負担の大きいものです。「何から手をつければよいか分からない」という段階から、どうぞ安心してご相談ください。


まとめ

川崎市で相続手続きを進めるときは、「区役所でできること」と「区役所ではできないこと」を分けて考えるのが第一歩です。

区役所では、死亡届の提出、戸籍・住民票の取得、年金や健康保険の手続きを行います。一方、不動産の相続登記は法務局(司法書士)、相続税の申告は税務署(税理士)、争いがある場合は弁護士、というように、窓口も専門家も分かれます。

2024年に始まった戸籍の広域交付は便利な制度ですが、兄弟姉妹の戸籍が取れない、代理人請求ができない、戸籍の附票が取れないなど、相続の場面でつまずきやすい制限があります。「一度で全部揃うはず」と思い込まず、事前に区役所へ確認してから出向くことをおすすめします。

手続きの順番を間違えると、何度も区役所に足を運ぶことになります。迷ったときは、早めに専門家にご相談ください。