高齢者の契約トラブル予防

85歳以上の相談は訪問販売の割合が最も高い|2025年度のデータと、家族が確認しておくこと

掲載:Officeうりずん社会保険労務士・行政書士事務所 代表・資格情報

相談室で50代の男性が行政書士と向かい合い、高齢の父が結んだ工事の契約について相談しているイラスト

※この記事は2026年9月時点の情報に基づく一般的な解説です。統計の数値は、国民生活センターが2026年9月16日に公表した資料に基づくもので、個々の契約が取り消せるかどうかやクーリング・オフの対象になるかどうかを示すものではありません。すでに結んだ契約については各自治体の消費生活相談窓口に、相手方との交渉を専門家に依頼する場合や法的な争いになっている場合は弁護士にご確認ください。

実家で一人暮らしをしている父は、87歳になります。

先日、久しぶりに帰ったところ、電話台の横に見慣れない工事の契約書が置いてありました。父に聞くと「電気の点検に来た人に、古くて危ないから交換したほうがいいと言われた」とのことです。

本当に必要な工事だったのか、そもそも相手は誰だったのか、父の説明ではよく分かりません。どこに相談すればよいのかも分からない――そうしたご相談をいただきます。

国民生活センターは2026年9月16日、2025年度の65歳以上の消費生活相談の集計と、分電盤の点検商法についての注意喚起を公表しました。このコラムでは、公表された数字を読み違えないためのポイントと、川崎市・横浜市・神奈川県の相談窓口の違いを整理します。


目次

  1. 2025年度、65歳以上の相談は33万件あまり
  2. 85歳以上では「訪問販売」の割合が最も高くなる
  3. 数字を読むときの注意|「割合」と「件数」は違う
  4. 金額の目安|契約した金額と、すでに支払った金額
  5. 2025年度に大きく増えた相談|分電盤の点検商法
  6. 相談先は名前も受付時間も違う|川崎市・横浜市・神奈川県
  7. うりずんに相談できること
実家の父の工事契約書に気づいた息子が、85歳以上の相談では訪問販売の割合が最も高いことや分電盤の点検商法、自治体ごとに異なる相談窓口について、行政書士から説明を受けている様子を描いたイラスト

2025年度、65歳以上の相談は33万件あまり

国民生活センターの公表によると、2025年度に寄せられた相談のうち、契約当事者が65歳以上の相談は330,497件でした。2024年度の304,674件から約25,800件増えています。

一方で、相談全体に占める65歳以上の割合は、2024年度の38.6%から2025年度は37.7%へ、わずかに下がっています。件数は増えたものの、割合は下がったということです。

この集計は、PIO-NETに2026年7月31日までに登録された分をもとにしています。


85歳以上では「訪問販売」の割合が最も高くなる

今回の公表で目を引くのは、年齢区分ごとに見た「どのような形で契約したか」(販売購入形態)の違いです。

85歳以上の方の相談を販売購入形態別に見ると、訪問販売が21.5%で最も高く、通信販売の18.6%を上回りました。

販売購入形態85歳以上の相談に占める割合
訪問販売21.5%
通信販売18.6%
店舗購入13.8%
電話勧誘販売9.9%
訪問購入2.7%

※主な区分のみ掲載しています。表にない区分もあるため、合計は100%になりません。

65〜69歳の方では、通信販売が48.4%で最も高く、訪問販売は6.3%にとどまります。65歳以上の年齢区分で見ると、訪問販売の割合は年齢が上がるにつれて高くなり、85歳以上で通信販売を抜きます。

国民生活センターはこの傾向について、年齢が上がるとともに在宅時間が長くなることにより、訪問による勧誘を受けやすい環境にあることが一因と考えられる、と説明しています。

なお、ここでいう「訪問販売」は国民生活センターの集計上の区分です。この数字だけで、個々の契約がクーリング・オフの対象になるかどうかは分かりません。クーリング・オフの仕組みは「訪問販売とクーリング・オフの基本」で解説しています。


数字を読むときの注意|「割合」と「件数」は違う

「85歳以上では訪問販売が最も高い」というのは、85歳以上の方の相談の中で、販売購入形態どうしを比べた結果です。ほかの年齢の方と件数を比べた結果ではありません。

2025年度の85歳以上の相談は44,269件で、そのうち訪問販売は9,504件でした。件数で比べると、訪問販売の相談は65歳未満の方からのほうが多く寄せられています。

ですから、この数字から「85歳以上の方は訪問販売のトラブルに遭いやすい」と読むことはできません。資料が示しているのは、年齢区分ごとに契約の入口の形が変わるという傾向です。

当事務所のコラムでは、年齢だけで判断力が低下するということではなく、いくつかの状況が重なるときに注意が必要だという考え方で整理しています。くわしくは「高齢者が狙われやすい契約トラブルとは?」で取り上げています。


金額の目安|契約した金額と、すでに支払った金額

国民生活センターは、2025年度の平均契約購入金額と平均既支払金額も公表しています。

項目65歳以上65歳未満
平均契約購入金額約73万円約94万円
平均既支払金額約51万円約50万円

どちらも年齢区分全体の平均です。85歳以上に限った金額は公表されていません。

平均契約購入金額は、65歳以上より65歳未満のほうが高くなっています。一方で、すでに支払った金額の平均は、65歳以上と65歳未満でほぼ同じ水準です。契約した金額だけでなく、すでにいくら支払ったかも、相談の際に確認しておきたい点です。


2025年度に大きく増えた相談|分電盤の点検商法

同じ日に、国民生活センターは分電盤の点検商法についての注意喚起を公表しました。

年度相談件数
2022年度14件
2023年度39件
2024年度1,290件
2025年度6,545件

2025年度は前年度の約5倍です。2026年度も7月31日までで2,223件と、前年の同じ時期(1,312件)を上回っています。2024年度に南関東で目立っていた相談が、2025年度には北関東や九州北部などを含む各地で急増したとされています。

契約当事者の年代では、70歳以上が8割を超えています。国民生活センターは、高齢者に特に注意してほしいトラブルだとしています。

資料には、次のような相談事例が載っています。

電力会社を名乗る電話があり、法定点検だと思って来訪を承諾した70歳代の女性が、点検のあとで「分電盤の耐用年数は法律で15年と決まっている」と業者から説明を受け、約14万円の交換工事を契約しました。業者が帰ったあとに家族に相談し、契約している電力会社に確認したところ、関係のない業者だと分かったという事例です。

この事例では、業者が帰ったあとに家族へ相談したことが、その後の確認につながっています。

国民生活センターは、次のように呼びかけています。

  • 電話などで点検を持ち掛ける業者には、安易に点検させない
  • 点検した業者と、その場で契約しない
  • クーリング・オフ等ができる場合もある
  • 不安や不明な点があれば、すぐに消費生活センター等に相談する

⚠ 法定点検では、交換工事の契約を持ち掛けられることはありません
国民生活センターは「法定点検では、点検後に調査員が分電盤の交換工事の契約を持ち掛けることはありません」と案内しています。点検のあとにその場で工事の契約を勧められたら、いったん契約せずに、ご家族や相談窓口に確認してください。

点検商法のほかの手口や、契約が重なっていく形については、前の節で紹介したコラムで整理しています。


相談先は名前も受付時間も違う|川崎市・横浜市・神奈川県

契約トラブルの相談先というと「消費生活センター」という名前が思い浮かびますが、窓口の名前は自治体ごとに違います。川崎市の窓口は「川崎市消費者行政センター」です。

2026年9月22日時点で、各窓口の公式サイトに掲載されている内容は次のとおりです。

項目川崎市横浜市神奈川県
名称川崎市消費者行政センター横浜市消費生活総合センターかながわ中央消費生活センター
電話044-200-3030045-845-6666045-311-0999
平日9時〜16時(金曜は19時まで電話相談のみ延長)9時〜18時9時30分〜17時
土曜10時〜16時(電話相談のみ)9時〜16時45分(電話相談のみ)9時30分〜16時30分
日曜受付なし9時〜16時45分(電話相談のみ)受付なし(188の利用を案内)
対象市内在住・在勤・在学の方市内在住の方(在勤・在学の方は可能な場合もあると案内)県内在住・在勤・在学の方

※いずれも祝日・年末年始(12月29日〜1月3日)は受付がありません。受付時間は変わることがあるため、電話の前に各窓口の案内をご確認ください。

川崎市消費者行政センターの来所相談は事前予約制です。中原区役所・高津区役所・多摩区役所では、予約制の出張相談も行われています。かながわ中央消費生活センターは、聴覚障害のある方を除き、来所での相談は受け付けていないと案内しています。

どこに電話すればよいか分からないときは、消費者ホットライン「188」が使えます。郵便番号などを入力すると、お住まいの地域の消費生活センター等につながる仕組みで、施設点検日や年末年始を除いて原則毎日利用できると案内されています。相談は無料ですが、通話料の案内が流れたあと、相談窓口につながった時点から通話料がかかります。

ご家族が代わりに相談する場合について、国民生活センターは、消費生活センター等への相談は家族やホームヘルパー、地域包括支援センターなどの職員からでも可能だと案内しています。ただし運用は窓口ごとに異なり、かながわ中央消費生活センターは「原則として、本人からの電話をお願いしています」と案内しています。お住まいの窓口の案内をご確認ください。

⚠ 消費生活の窓口は、相続の相談窓口ではありません
かながわ中央消費生活センターは、相続トラブルは相談の対象外だと明記しています。消費生活の窓口は、商品やサービスの契約トラブルを扱う窓口です。相続の相談先の選び方は「相続の無料相談はどう使う?」で整理しています。


うりずんに相談できること

すでに結んでしまった契約について、取り消せるかどうか、クーリング・オフが使えるかどうかは、契約の内容や経緯によって判断が分かれます。当事務所ではその判断はいたしません。消費生活の相談窓口では、助言のほか、場合によっては事業者との間のあっせんも行われています。相手方との交渉を専門家に依頼する場合や、法的な争いになっている場合は、弁護士へご相談ください。必要に応じて、提携する弁護士へおつなぎします。

当事務所がお手伝いできるのは、その手前の「これから先の備え」です。離れて暮らす親の様子を定期的に確認する見守り契約、財産の管理を任せる財産管理委任契約、判断能力が低下したときに備える任意後見契約などを、ご本人の意向を確認しながら書面の形に整えます。親の契約状況を家族がどう確認するかについては「高齢の親が不要な契約をしていないか確認する方法」もあわせてご覧ください。

相続のお手続きでお困りの方へ

うりずん相続手続き相談室では、高齢の親の契約トラブルが気になるご家族の確認の入口として、戸籍の収集による相続人調査、財産調査、遺産分割協議書の作成、銀行口座の解約手続きのサポート、遺族年金・未支給年金の請求支援など、行政書士・社会保険労務士として対応できる手続きを中心にお手伝いしています。相続登記や相続税申告、紛争対応が必要な場合には、提携する司法書士・税理士・弁護士と連携し、必要な専門家へ適切におつなぎします。市区町村や年金事務所での手続きに不安をお持ちの方も、どうぞ安心してご相談ください。

川崎・横浜エリアを中心に、初回のご相談は60分無料・土日祝もご予約可能・秘密厳守・お問い合わせには翌営業日までにご返信しています。お電話・LINE・お問い合わせフォームから、お気軽にご連絡ください。


まとめ

国民生活センターが2026年9月16日に公表した2025年度の集計から、ご家族に知っておいていただきたいことは次のとおりです。

  • 85歳以上の方の相談では、販売購入形態のうち訪問販売の割合が21.5%で最も高い(件数の比較ではない)
  • 65歳以上の平均契約購入金額は約73万円、平均既支払金額は約51万円(85歳以上に限った金額は公表されていない)
  • 分電盤の点検商法の相談は2025年度に6,545件で前年度の約5倍、契約当事者の8割超が70歳以上
  • 相談窓口は自治体ごとに名称・受付時間・対象が違い、消費生活の窓口は相続の相談窓口ではない
  • すでに結んだ契約は、まず相談窓口へ。交渉を専門家に依頼する場合や法的な争いになっている場合は弁護士へ