※この記事は2026年8月時点の情報に基づく一般的な解説です。必要になる手続きや書類は、亡くなった方の国籍、在留の状況、ご家族のお住まいの場所、葬法や本国搬送のご希望によって変わります。実際のお手続きの前に、お住まいの市区町村の窓口、関係する国の大使館・領事館、または専門家にご確認ください。
外国籍のご家族が日本で亡くなったとき、何から手をつければよいのか。川崎市・横浜市でご相談をお受けしていると、そうしたお問い合わせをいただくことがあります。
先にお伝えすると、基本の流れは日本人の場合と大きく変わりません。死亡届を出し、埋火葬許可証を受け取り、葬儀を行う。この順番は同じです。
違うのは、そこにもうひとつの国が関わってくるという点です。この記事では、日本国内の手続きに加えて何を確認する必要があるのかを、行政書士の立場からご説明します。
追加で必要になるのは主に次の4点です。
- 在留カード・特別永住者証明書の返納
- 本国の大使館・領事館への確認
- 火葬か土葬か、本国での埋葬かという葬法の確認
- ご遺体を本国へ搬送する場合の準備
このうち、期限が決まっているのは在留カード等の返納です。14日以内という定めがあり、葬儀の準備で慌ただしい時期に走り出します。
目次
- 死亡届と火葬許可の基本は、日本人の場合と同じ
- 在留カード・特別永住者証明書は14日以内に返納する
- 本国の大使館・領事館に確認すること
- 火葬か、土葬か、本国での埋葬か
- ご遺体を本国へ搬送する場合に考えること
- このあとに続く、相続の手続き
- うりずん相続手続き相談室でできること
死亡届と火葬許可の基本は、日本人の場合と同じ
外国籍の方が日本で亡くなった場合も、市区町村への死亡届や埋火葬許可の手続きが必要になります。
死亡届の期限、届出人の範囲、提出先、埋火葬許可証が交付されるまでの流れは、日本人の場合と大きく変わりません。詳しい流れは、死亡届から火葬許可までの記事でご説明していますので、そちらをご覧ください。
医師から死亡診断書(または死体検案書)を受け取り、届出人が必要事項を記入して市区町村へ提出する。ここまでは同じです。
違いが出るのは、この先です。
在留カード・特別永住者証明書は14日以内に返納する
ここが、この記事でもっともお伝えしたい部分です。
在留カードは、その方が亡くなった時点で失効します。そして失効した在留カードは、返納しなければなりません。
ご親族または同居者の方が、死亡の日から14日以内に返納することになります。特別永住者証明書についても同様です。返納先は出入国在留管理庁長官です。
「親族または同居者」とされていますので、一緒にお住まいだった方であれば、血縁がなくても返納できることになります。逆に、ご家族が全員海外にお住まいで日本に誰もいない、という場合は、どなたが手続きするかを早めに決めておく必要があります。
ここでひとつ、実務で助かる定めがあります。死亡後に在留カードを見つけたときは、その発見の日から14日以内です。遺品を整理していて後から出てくることもありますので、その場合は見つけた日が起算日になります。
返納の方法は2つです。
- お住まいの地域を管轄する地方出入国在留管理官署へ直接持参する
- 出入国在留管理庁の参考書式「在留カード等の返納について」に、返納理由を証する文書(死亡証明書、戸籍謄本など)を添付して送付する
送付の場合、封筒の表に「在留カード等返納」と表記します。
期限内に返納しない場合、罰金の対象になることがあります。葬儀や各種手続きで慌ただしい時期ですが、在留カード等が見つかったら早めに返納手続きを確認しておきましょう。
なお、以前の外国人登録証明書を在留カードとみなして使われていた場合も、同じ扱いになります。
返納の際には、死亡を証明する書類が必要になります。どの書類が使えるかについては、返納の前に出入国在留管理庁へ確認しておくと安心です。なお、死亡診断書などは、死亡届を提出する前にコピーを取っておくと、あとの手続きで役立つことがあります。
本国の大使館・領事館に確認すること
市区町村への死亡届とは別に、本国側で必要になる手続きがあることがあります。
死亡の届出や、本国の身分登録への反映のしかたは、国によって異なります。日本の役所に死亡届を出せば本国側も自動的に終わる、というわけではありません。
領事館へ提出を求められる書類の例としては、次のようなものがあります。
- 亡くなった方のパスポート
- ご遺族のお名前・ご住所・連絡先
- 本国で最後にお住まいだった住所
- ご遺体を本国へ搬送するのか、日本で火葬・埋葬するのか
必要な書類は国によって変わります。該当する国の大使館・領事館へ、早めにお問い合わせください。日本語での対応が難しい場合もありますので、その国の言葉が分かる方に同席していただけると安心です。
また、国によっては、本国側の確認や書類手続きに時間がかかることがあります。葬儀の日程を決める前に、関係する大使館・領事館へ確認しておくと安心です。
本国側で必要な手続きをしていないと、その後の身分登録や相続手続きに支障が出る場合があります。日本での手続きが済んだからといって、そこで終わりにしないことが大切です。
火葬か、土葬か、本国での埋葬か
日本では火葬が一般的です。しかし国や宗教、ご本人・ご家族の考え方によって、土葬や本国での埋葬を希望されることがあります。宗教上の理由から、火葬以外の方法を希望されることもあります。
ここは、ご家族の間で早めに確認しておきたい点です。日本国内で土葬を希望される場合、受け入れ先が限られることも考えられます。
日本で火葬してよいのか、本国へ搬送するのか。この判断が、その後の手続きの分かれ道になります。ご家族、関係する大使館・領事館、そして葬儀社と、早い段階で相談しておくことをおすすめします。
病院や警察からの引渡し後の安置先についても、葬儀社などと早めに調整しておく必要があります。安置先を確保したうえで、葬法の相談を進めることになります。
ご遺体を本国へ搬送する場合に考えること
本国での埋葬を選ばれる場合、通常の国内の葬儀とは進め方が変わります。
必要になるのは、たとえば次のような調整です。
- 搬送先の国が求める書類
- 航空会社の手続き
- 衛生上の処置
- 葬儀社・搬送業者との調整
時間も費用もかかりますので、本国搬送を希望する場合は、対応経験のある葬儀社や搬送業者に早めに確認することが大切です。すべての葬儀社が海外搬送を扱っているわけではありません。
また、本国へご遺体を搬送する場合でも、日本での死亡届は必要です。そのうえで、搬送先の国、航空会社、葬儀社・搬送業者が求める書類や手続きを確認して進めることになります。
このあとに続く、相続の手続き
葬儀が終わり、一段落したところで、今度は相続の手続きが始まります。
外国籍の方の相続では、相続人をどう確定するか、どの国の法律で処理するか、どの書類が必要になるかが、日本人の場合と変わってきます。日本の戸籍でたどれない場合の相続人の確定方法や、準拠法の考え方については、外国人が日本で亡くなった場合の相続手続きの記事で詳しくご説明しています。
相続放棄をお考えの場合は3か月、相続税の申告が必要な場合は10か月という期限があります。葬儀のあと、少し落ち着いてからで構いませんので、早めに全体像をつかんでおくことをおすすめします。
うりずん相続手続き相談室でできること
当相談室では、行政書士として、次のようなご相談をお受けしています。
- 亡くなったあとに必要となる手続きの洗い出しと、進める順番の整理
- 在留カード等の返納にあたって必要になる書類の確認
- 相続手続きに向けた、相続人の確定と必要書類の整理
- 戸籍・除籍謄本などの収集
一方で、葬儀やご遺体の搬送の手配は、当室では行っておりません。葬儀社へご相談ください。また、大使館・領事館での手続きを当室が代わって行うこともできません。
相続のお手続きでお困りの方へ
不動産の相続登記は司法書士、相続税の申告は税理士、相続人間に争いがある場合は弁護士の領域です。これらについては、提携する司法書士・税理士・弁護士と連携してお手伝いします。
川崎・横浜エリアを中心に、初回のご相談は60分無料・土日祝もご予約可能・秘密厳守・お問い合わせには翌営業日までにご返信しています。お電話・LINE・お問い合わせフォームから、お気軽にご連絡ください。
川崎市・横浜市を中心に、ご相談をお受けしています。何から手をつけてよいか分からない、という段階からで構いません。
まとめ
外国籍の方が日本で亡くなった場合も、死亡届と埋火葬許可という基本の流れは変わりません。
加わるのは4点です。在留カード等の返納、本国の大使館・領事館への確認、葬法の希望の確認、そして本国搬送を選ぶ場合の準備。
このうち在留カード等の返納には14日以内という期限があります。死亡の日から、あるいは後から見つけた場合はその発見の日から数えます。葬儀の準備で気持ちの余裕がない時期ですが、この期限だけは頭の片隅に置いておいていただければと思います。
そして、葬儀が終わったあとには相続の手続きが控えています。どこから手をつけてよいか分からないときは、一度ご相談ください。