葬儀を終えてひと息ついたころ、次に待っているのが「名義変更」と「解約」の手続きです。電気・ガス・水道、銀行口座、携帯電話、各種の契約——故人の名義のままにしておくと、料金が引き落とされ続けたり、口座が凍結されて使えなくなったりと、思わぬトラブルの原因になることがあります。

この記事では、葬儀後に忘れがちな名義変更・解約の手続きを、期限や窓口とともに一覧で整理します。直前の死亡届から火葬までの流れは死亡届から火葬許可までで、相続全体の流れは親が亡くなったらやるべき10のことでまとめていますので、あわせてご覧ください。


目次

  1. 葬儀後に忘れがちな「名義変更」と「解約」
  2. 世帯主変更届|必要な場合は14日以内
  3. 健康保険・介護保険・年金の手続き
  4. 公共料金(電気・ガス・水道)の名義変更・解約
  5. 電話・携帯・インターネット・サブスクの解約
  6. 銀行口座・クレジットカード|口座は凍結される
  7. 不動産の名義変更(相続登記)|2024年から義務化
  8. 自動車の名義変更(移転登録)
  9. 運転免許証・パスポート・マイナンバーカードなど
葬儀後の名義変更・解約手続きを8コマで解説。世帯主変更届(14日以内)、健康保険・介護・年金の資格喪失、電気・ガス・水道の名義変更・解約、携帯・サブスクの解約、銀行口座の凍結とカード解約、相続登記(2024年義務化・3年以内)、自動車・免許・パスポート・マイナンバーカードの整理までの手順。

葬儀後に忘れがちな「名義変更」と「解約」

葬儀後の手続きは、大きく分けると「名義変更(引き継ぐ)」と「解約(やめる)」の2種類です。住み続ける家の電気・ガス・水道は名義変更、もう使わない携帯電話やサブスクは解約、というように、ひとつずつ整理していきます。

注意したいのは、期限が決まっているもの(世帯主変更届、健康保険・年金、相続登記など)と、期限はないものの速やかにやるべきもの(公共料金、携帯、サブスクなど)があることです。故人の名義のまま放置すると、料金が引き落とされ続けたり、口座凍結で支払いが滞ったり、不正利用につながることもあります。まずは、契約・口座・カードの「棚卸し」から始めるのがおすすめです。


世帯主変更届|必要な場合は14日以内

世帯主が亡くなり、残された世帯に15歳以上の方が2人以上いる場合は、新しい世帯主を届け出る「世帯主変更届」が必要です。期限は死亡から14日以内で、窓口は市区町村役場です。

一方、残る世帯員が1人だけの場合や、配偶者と15歳未満の子だけになる場合など、次の世帯主が明らかなときは届出が不要なこともあります。判断に迷うときは、役所に確認しておくと安心です。


健康保険・介護保険・年金の手続き

公的な保険・年金は、種類によって手続きが分かれます。

  • 国民健康保険・後期高齢者医療・介護保険:市区町村で資格喪失の手続きや、資格確認書・被保険者証等の返却を行います。多くは死亡後14日以内です。
  • 会社員などの健康保険・厚生年金:勤務先の事業主が、原則として事実発生から5日以内に資格喪失届を提出します。ご家族は勤務先へ早めに連絡しましょう。
  • 年金:年金受給権者死亡届は、マイナンバーが日本年金機構に収録されている場合は原則不要です。ただし、未支給年金の請求や遺族年金の確認は別途必要です。

このうち健康保険(埋葬料・葬祭費)や年金は、別の記事でも詳しく取り上げています。


公共料金(電気・ガス・水道)の名義変更・解約

故人が契約者になっている電気・ガス・水道は、住み続ける場合は名義変更住まなくなる場合は解約の手続きをします。連絡先は検針票や請求書、各事業者のホームページで確認できます。

特に注意したいのが支払方法です。口座振替やクレジットカード払いにしている場合、後述のとおり口座が凍結されると引き落としができず、未払いになってしまうことがあります。名義変更とあわせて、支払方法も早めに切り替えておきましょう。


電話・携帯・インターネット・サブスクの解約

携帯電話・固定電話・インターネット回線は、解約するか、家族が引き継ぐ(承継・名義変更する)かを選びます。各社の窓口(電話・店舗・Web)で手続きできます。

見落としやすいのが、動画・音楽配信、新聞・雑誌、アプリ、定期購入などのサブスク(定額サービス)です。本人にしか分からない契約も多いため、クレジットカードの明細や口座の引き落とし履歴を手がかりに洗い出すのがおすすめです。放置すると料金が払い続けられてしまいます。


銀行口座・クレジットカード|口座は凍結される

銀行は、名義人の死亡を把握すると、その口座を凍結します。凍結されると、入出金・引き落とし・振込などの取引が原則として制限されます。

凍結された口座は、相続手続き(相続人の確定、遺産分割協議書の作成など)を経て、解約・払戻し・名義変更を行います。なお、葬儀費用や当面の支払いに困る場合には、一定額まで相続預金を払い戻せる「相続預金の仮払い制度」が使えることもあります。前述のとおり、公共料金などの引き落とし口座が凍結されると未払いになるため、支払方法の切り替えを先に済ませておくと安心です。

クレジットカードは、年会費や不正利用を防ぐため、速やかに解約します。未払いの残高がある場合は、その債務も相続の対象になります。


不動産の名義変更(相続登記)|2024年から義務化

故人名義の土地・建物は、相続人へ名義を変更する「相続登記」が必要です。

2024年4月1日から相続登記が義務化されました。不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請しないと、正当な理由がない場合は10万円以下の過料が科されることがあります。過去の相続も対象で、その場合は原則として2027年3月31日までが期限です。遺産分割がすぐにまとまらないときは、「相続人申告登記」という簡易な手続きで、いったん過料を避けることもできます。

相続登記は、司法書士が中心となって扱う専門的な手続きです。うりずんでは、提携する司法書士と連携してお手続きをおつなぎします。


自動車の名義変更(移転登録)

故人名義の自動車は、相続人へ名義を変更する「移転登録」を行います。道路運送車両法では所有者の変更から15日以内と定められていますが、相続の場合は誰が相続するかが確定してからの手続きとなるため、実際にはできるだけ速やかに進めるのが現実的です。

名義変更をしないままだと、売却・廃車ができない、車検や事故の際に支障が出るといった不都合が生じます。手続きの窓口は、普通自動車は運輸支局、軽自動車は軽自動車検査協会です。書類が多く煩雑なため、行政書士に依頼することもできます。


運転免許証・パスポート・マイナンバーカードなど

身分証や公的な証明書類も、忘れずに整理しておきましょう。

  • 運転免許証:遺族に返納義務はありません。ただし、更新通知の停止や悪用防止のため、警察署や運転免許センターで手続きしておくと安心です。
  • パスポート:パスポートセンターへ返納し、失効の手続きをします。
  • マイナンバーカード:死亡届が受理されると自動的に失効します。原則として返納は不要とする自治体が多いですが、相続手続きで個人番号の確認が必要になることもあるため、当面は保管し、取扱いに迷う場合は役所に確認しましょう。
  • そのほか、各種会員証・ポイントカード・公共施設の利用者登録なども、必要に応じて解約・整理します。

まとめ

葬儀後の名義変更・解約は数が多く、つい後回しになりがちです。期限のあるもの(世帯主変更が必要な場合は14日、国民健康保険・介護保険などの手続きは多くが14日、会社員等の健康保険・厚生年金は勤務先を通じた手続き、相続登記は3年など)から優先し、公共料金・携帯・サブスクは速やかに進めましょう。故人名義のまま放置すると、料金の継続・口座凍結による未払い・不正利用といったリスクがあります。

進める順番の目安は、①期限のある公的手続き(世帯主・健康保険・年金)→②生活インフラ(公共料金・通信)→③金融(口座・カード)→④資産の名義変更(不動産・自動車)です。まずは契約・口座・カードを棚卸しし、ひとつずつチェックしていけば大丈夫です。

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