ご家族を亡くされて、相続のお手続きを進めていらっしゃる皆さま。
心から、お悔やみ申し上げます。

亡くなられた方の机の引き出しや金庫を整理していて、封筒に「遺言書」と書かれた書面が見つかった――そんなとき、「これ、どう扱えばよいの?」「開けて中身を確認してもよいの?」と、戸惑いの中で手が止まっていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、ご家族が遺言書を残されていたときに確かめるべき3つのこと――①どこにあるかを確認する / ②どんな種類の遺言書か判別する / ③検認の手続きが必要か判断する――を、はじめての方にも分かるように整理しました。
開けて読んでしまう前に、どうかこの記事を一読されてから手を動かしていただければと思います。


目次

  1. 遺言書が見つかったら、まず何をすべきか
  2. 遺言書の探し方
  3. 遺言書には3種類ある(自筆/公正/秘密)
  4. 家庭裁判所の検認手続き
  5. 開封による過料5万円のリスク
  6. 遺言書の効力と「無効」になるケース
  7. 複数の遺言書が見つかったとき
  8. よくあるトラブルと対策

1. 遺言書が見つかったら、まず何をすべきか

ご家族を亡くされたあと、ご自宅の整理を進めていらっしゃる中で「遺言書」と書かれた書面に出会ったとき、最初にしていただきたいのは、急いで開けたり、内容を確認したりしないことです。

「家族なんだから、中を見てもいいのでは」――そう思われるお気持ちはとてもよく分かります。けれども、遺言書には種類があり、種類によっては 家庭裁判所の手続きを経ずに開封してしまうと、過料(行政上の制裁金。刑事罰の「罰金」とは異なり、前科にはなりません) が課せられる可能性があります(詳細は §5 で解説します)。

確かめるべき3つのこと

落ち着いて、次の3つを順に確認していきましょう。

  1. どこにあるかを確認する(§2):自宅・法務局・公証役場・銀行貸金庫など、考えられるすべての場所を確認します
  2. どんな種類の遺言書かを判別する(§3):自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類があり、その後の手続きが大きく変わります
  3. 検認の手続きが必要かを判断する(§4):種類によって家庭裁判所の検認が必要なものと不要なものがあります

🌱 大切なポイント
遺言書は ご家族から残されたメッセージ であると同時に、法律上の効力を持つ書面 でもあります。だからこそ、開け方や扱い方には決まりがあります。「読みたい」というお気持ちはひと呼吸抑えて、まずは どんな種類なのか を確かめることから始められると安心です。

ご家族・ご親族の中で先に見つけた方が独断で開けてしまうと、後々のご相続人どうしのトラブルにもなりかねません。「見つけた」段階でいったんすべての相続人で情報共有されることが、円満なお手続きへの第一歩です。


2. 遺言書の探し方

ご自宅で見つかる場合もあれば、ご家族の誰も知らない場所に保管されている場合もあります。「ない」と判断する前に、考えられるすべての保管場所をひととおり確認されることが大切です。

主な保管場所と確認方法

保管場所確認方法費用
ご自宅(机・金庫・仏壇・書斎・本棚の中など)ご家族で手分けして探す。遺品整理を兼ねて
銀行の貸金庫通帳の引き落としやカードから契約の有無を確認。開扉には相続人全員の同意などが必要開扉手続きごとに金融機関の手数料
法務局の自筆証書遺言保管制度全国の法務局で「遺言書保管事実証明書」を交付申請1通 800円
公証役場の遺言検索システム全国の公証役場で公正証書遺言の有無を検索検索は無料

① ご自宅で見つけるパターン

もっとも多いのが、ご自宅で発見されるパターンです。亡くなられた方の人柄や生活習慣によって保管場所はさまざまですが、よくあるのは:

  • 書斎の机の引き出し(鍵付きが多い)
  • 寝室のタンスの上段や、貴重品の入った箱
  • 仏壇やその下の引き出し
  • 本棚の特定の本に挟まれている
  • 自宅の金庫(暗証番号や鍵の所在も合わせて確認)

「ご家族には内緒にしていた」というケースも珍しくありません。ご家族で手分けして、一度すべての引き出し・棚をご確認されることをおすすめします。

② 法務局の自筆証書遺言保管制度(2020年7月10日開始)

2020年7月10日から始まった比較的新しい制度で、自筆で書かれた遺言書を、法務局が原本のまま預かってくれる仕組みです。ご家族でも、亡くなられた方が利用していたかどうかが分からないこともあります。

確認の手順は以下のとおりです:

  1. 全国どこの法務局でも申請できる(本籍地等の縛りなし)
  2. 遺言書保管事実証明書」の交付を申請する
  3. 1通 800円の手数料で、預けていれば「あり」、なければ「なし」が判明する

利用されていた場合、相続人は「遺言書情報証明書」を取り寄せることで、遺言書の内容をご確認いただけます。法務局保管の自筆証書遺言は、後述する検認が不要です。

③ 公証役場の遺言検索システム

公正証書遺言(公証人に作成してもらう形式)が残されている場合、原本は公証役場に保管されています。1989年(平成元年)以降に作成された公正証書遺言は、全国どこの公証役場からでも検索可能で、検索自体は無料です(東京公証人会管轄の公証役場で作成されたものに限り、昭和56年(1981年)1月1日以降の遺言書も検索対象に含まれます)。

ご相続人であることを示す戸籍謄本等を持参のうえ、お近くの公証役場で照会されると、ご家族の知らない遺言書の存在が判明することもあります。

④ 銀行の貸金庫

意外と見落とされやすいのが 銀行の貸金庫 です。亡くなられた方が貸金庫を契約されていた場合、遺言書が中に入っていることがあります。

ただし、貸金庫の開扉には 相続人全員の同意や立会い を求められるのが一般的で、すぐには開けられないことが多いです。詳しくは §8 のトラブル事例でご紹介します。


3. 遺言書には3種類ある(自筆/公正/秘密)

ひとくちに「遺言書」と言っても、法律上の形式は 3種類 に分かれます。種類によって、保管されている場所、改ざんのリスク、そして その後にとるべき手続き(検認の要否)が変わってきます。

3種類の比較表

種類検認の要否保管場所改ざんリスク費用主な特徴
自筆証書遺言必要(法務局保管なら不要)ご自宅 or 法務局保管制度比較的高い(自宅保管時)ご自宅は無料 / 法務局保管 3,900円全文を自筆で書く。手軽だが形式不備で無効になるリスクあり
公正証書遺言不要公証役場(原本)きわめて低い財産額に応じ 数万円〜十数万円公証人が関与。証人2名必要。形式不備や紛失の心配が少ない
秘密証書遺言必要ご本人で保管(公証役場で存在のみ証明)自筆と同程度公証役場手数料 13,000円〜内容を秘密にしたまま「あること」だけ公証役場に証明してもらう。利用例は少ない

自筆証書遺言

亡くなられた方が ご自身で全文を手書きし、署名・押印して作成された遺言書です。もっとも一般的で、ご自宅で見つかる遺言書の多くがこの形式です。

2019年1月13日からは、財産目録の部分のみパソコン作成や通帳コピーの添付も認められるようになりましたが、遺言の本文は必ず自筆である必要があります。

公正証書遺言

亡くなられた方が 公証役場で公証人に作成してもらった遺言書です。証人2名の立会いのもと、公証人が法律的に正確な文章で作成しますので、形式不備で無効になる心配がほぼありません。原本は公証役場に保管されますので、紛失・改ざんの不安もありません。

ご家族のお手元には 「正本」または「謄本」 という、原本の写しが残されていることが多いです。「正本」「謄本」と書かれた書面を見つけられたら、それは公正証書遺言です。

秘密証書遺言

実務上はあまり利用されない形式ですが、知識として押さえておきましょう。遺言の内容は秘密にしたまま、「遺言書を作った」という事実だけを公証役場で証明してもらう仕組みです。

📖 秘密証書遺言が使われる稀なケース
内容をどうしても ご家族にも公証人にも見られたくないが、遺言書の存在は公的に証明しておきたい――そんな事情のあるごく一部の方が利用されます。実務では、自筆証書遺言の法務局保管制度の登場以降、ほぼ役割を終えつつあると言われています。


4. 家庭裁判所の検認手続き

「検認」(けんにん)とは、家庭裁判所が、遺言書の形状・内容・日付・署名などを確認し、その内容を相続人に明らかにすると同時に、遺言書を保全するための手続きです。

⏰ 手続きの期限:遺言書の検認は「遅滞なく」(民法1004条)

法律で「死亡から◯日以内」と明示された日数はありませんが、民法は「遺言書の保管者は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく、家庭裁判所に提出して検認を請求しなければならない遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする」と定めています(民法1004条)。

相続税の申告期限が「死亡を知った日の翌日から10か月以内」であることを踏まえると、現実的には 1〜2か月以内 に家庭裁判所への申立てを行うのが一つの目安になります。

検認手続きの流れ

ステップ内容期間目安
1. 申立て被相続人(亡くなられた方)の 最後の住所地 を管轄する家庭裁判所に申立書を提出
2. 必要書類の準備申立書、亡くなられた方の 出生から死亡までの戸籍相続人全員の戸籍、遺言書 など1〜2か月
3. 検認期日の通知家庭裁判所から相続人全員に検認期日(検認当日)が郵送で通知される申立から 1〜2か月
4. 検認当日相続人(または代理人)が立会いのもと、家庭裁判所で遺言書を開封・確認約 30 分
5. 検認済証明書の取得検認後、申請により「検認済証明書」が遺言書に添付され、その後の手続きで使えるようになる検認当日〜数日

申立先と必要書類

申立先は、亡くなられた方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所 です。「ご自身がお住まいの地域の家裁」ではない点に注意が必要です。

主な必要書類:

  • 検認申立書(裁判所のウェブサイトからダウンロード可能)
  • 亡くなられた方の 出生から死亡までのすべての戸籍(これが最も大変)
  • 相続人全員の戸籍
  • 収入印紙 800円(遺言書1通につき)+ 連絡用の郵便切手

📖 申立書の入手先
検認申立書は、お近くの家庭裁判所の窓口でも入手できますが、裁判所ウェブサイト(courts.go.jp) から書式をダウンロードして自宅で記入することも可能です。書き方の見本も合わせて公開されていますので、ご活用いただけます。

検認当日の流れ

検認期日には、申立てをされたご相続人(以下、申立人)と、可能なご相続人が家庭裁判所に出向きます。全相続人が揃わなくても検認は実施されます(欠席の方には事後に結果が通知されます)。

裁判官と書記官の前で、申立人立会いのもと 封筒を開封し、内容を読み上げ、形状・筆跡・日付・署名押印などを確認します。所要時間はおおむね 30 分程度です。

🌱 検認済証明書の取得タイミング
検認が終わった後、その遺言書を 銀行・法務局などで実際に使うためには、「検認済証明書」 という証明文を遺言書に添付してもらう必要があります。検認当日や後日に家庭裁判所で申請(遺言書1通につき 150円の収入印紙)すれば取得できますので、忘れずに申請されてください。これがないと、せっかく検認しても銀行や法務局で受け付けてもらえません。

検認が「不要」な遺言書

すべての遺言書に検認が必要なわけではありません。以下の2つは 検認不要 です:

  • 公正証書遺言(公証役場が原本を保管しているため)
  • 法務局保管制度を利用した自筆証書遺言(2020年7月10日以降の制度)

これらの遺言書については、家庭裁判所への申立て自体が不要で、すぐに銀行や法務局での手続きに進むことができます。


5. 開封による過料5万円のリスク

「家族なんだから、見ても問題ないだろう」――そう思って封筒を開けてしまった瞬間、5万円以下の過料が課せられる可能性があります。これは民法に明記されたルールです。これは民法に明記されたルールです(過料は刑事罰の「罰金」とは異なり、行政上の秩序罰にあたるため前科にはなりませんが、れっきとした法律上の制裁です)。

民法1004条・1005条のルール

⚠ 開封禁止のルール(民法1004条・1005条)
民法は次のように定めています。
封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人またはその代理人の立会いがなければ開封できない(民法1004条3項)
これに違反した者・検認の請求を怠った者は、5万円以下の過料に処せられる(民法1005条)

ここで重要なのは、封がされている(=封印がある)場合に限り、開封自体が制限されている点です。封のされていない遺言書については、開けた行為そのものに対する過料は科されません(ただし、検認の請求は別途必要です)。

過料を科される条件

過料が問題になりうる主なケース:

  • 封のされた遺言書を、家裁の立会いなしに開けてしまった
  • 遺言書の存在を知りながら、検認の請求を長期間怠った
  • 遺言書を 意図的に隠した・破棄した

すでに開封してしまった場合の対応

「もう開けてしまった」というご相談を、当事務所でも実際に多くいただきます。結論からお伝えすると、開封後でも検認手続きは引き続き必要ですし、開封されてしまった遺言書そのものの効力は失われません

過料が必ず科されるわけではなく、家庭裁判所の判断になります。実際には、悪意なく開けてしまったケースで過料が科されたという事例は稀です。

ただし、他の相続人から「不正があったのでは」と疑われ、トラブルの種になることがあります。開封してしまった旨を 正直に家庭裁判所に申告し、すぐに検認の申立てを行う――これが、お一人で抱え込まずに進めていただきたい対応です。


6. 遺言書の効力と「無効」になるケース

遺言書が見つかり、検認も済ませた――それでも、遺言書自体が「無効」と判定されることがあります。形式に不備があると、せっかくの遺言書がご家族の意思を反映できなくなってしまいます。

無効になりやすいパターン

種類無効になりやすい不備
日付の不正確「2026年○月吉日」など、特定の日が確定できない記載
本文の非自筆自筆証書遺言の本文をパソコンで作成(財産目録のみは2019年改正で可)
署名・押印の漏れ本人の署名がない、印鑑が押されていない
加除訂正の方法違反訂正に署名・押印・「○字加入○字削除」の旨の記載がない
遺言能力の欠如認知症の進行などで、遺言時に判断能力がなかった
共同遺言の禁止夫婦などが「1通の遺言書に連名」で書いた(民法975条で禁止)

自筆証書遺言の形式不備

自筆証書遺言で特に多いのが、日付の書き方訂正方法の誤りです。

日付は「2026年5月14日」のように 特定の年月日が確定できる形で書かれていないと無効になります。「2026年5月吉日」「2026年春」のような書き方は、その日が確定できないため無効です。

訂正の方法も厳格です。書き間違えた箇所を二重線で消し、その上に押印するだけでなく、「○字加入○字削除」と署名つきで欄外に明記する必要があります。

パソコン作成は財産目録のみ可

2019年1月13日の民法改正により、財産目録の部分のみ はパソコン作成や通帳のコピー添付が認められるようになりました。ただし、遺言の本文は必ず自筆です。「パソコンで全文作成して、自筆で署名押印した」というケースは無効になります。

遺言能力(認知症)の問題

⚠ 遺言能力が問題になる典型ケース
認知症の診断を受けた後に作成された遺言書は、遺言能力(物事を判断する能力) があったかどうかが争点になります。診断書や介護記録、当時のご家族の証言などをもとに、家庭裁判所で 遺言が無効ではないか を争うケースが増えています。
「父は最後まで意識がはっきりしていた」というご家族の感覚と、医学的な評価が食い違うことも珍しくありません。ご不安なときは、早めに専門家にご相談ください。

検認は「効力」を判定しない

ここで誤解しやすいのが、家庭裁判所の検認は、遺言書の効力を判定する手続きではないという点です。

検認はあくまで 「こういう状態の遺言書がありました」と公的に保全・記録する手続き であり、形式の有効性や内容の妥当性は別途、相続人間の協議や調停、訴訟で争うことになります。「検認が通ったから安心」ではなく、「検認が通った=その先、内容を実行するための前提が整った」と理解されると正確です。


7. 複数の遺言書が見つかったとき

ご自宅から1通、公証役場から1通――複数の遺言書が見つかることが、実は珍しくありません。「どちらが本物?」「どちらに従えばよいの?」と混乱されるお気持ちは、よく分かります。

民法1023条:後の遺言が優先

民法は「前の遺言と後の遺言とで内容が抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす」と定めています(民法1023条)。つまり、日付が新しい遺言書のほうが優先されます。

抵触する部分だけが後優先

ここで重要なのは、「全部上書き」ではなく「抵触する部分のみ」が後の遺言で上書きされる点です。

例えば:

  • 2024年の遺言書:「自宅は長男に、預貯金は長女に」
  • 2026年の遺言書:「預貯金は次男に」

この場合、預貯金の部分のみ2026年の遺言が優先され、自宅の長男相続については2024年の遺言がそのまま生きる形になります。

🌱 複数遺言の組み合わせ運用
「最新の遺言書ですべてが上書きされる」と早合点して、古い遺言書を破棄してしまうご家族もいらっしゃいますが、古い遺言書も組み合わせて運用 されることが多いものです。日付が異なる遺言書はすべて保管し、専門家とともに 「どの財産がどの遺言書で指定されているか」 を整理されると安心です。

同じ日付・同じ内容で別形式の場合

同じ日付で、自筆証書遺言と公正証書遺言の両方が存在する――そんな極めて稀なケースでは、内容が一致していれば実務上問題になりません。ご家族・専門家と共有のうえで、内容に矛盾がないか確認することが第一歩です。


8. よくあるトラブルと対策

ここでは、当事務所で実際にご相談を受けることが多い5つのケースをご紹介します。

ケース1:自筆遺言を開封してしまった

「父の机の引き出しから封筒に入った遺言書が出てきたので、つい開けて読んでしまいました」――よくあるご相談です。§5 でお伝えしたとおり、過料のリスクはあるものの、遺言書自体の効力は失われません

開封してしまった旨を 正直に家庭裁判所に申告し、すぐに検認の申立てを行いましょう。他のご相続人にも「悪意なく開けてしまったこと」を率直にお伝えされると、後々のトラブルを避けられます。

ケース2:貸金庫に入っていて相続人だけでは開けられない

亡くなられた方が銀行の貸金庫を契約されていた場合、遺言書が中に入っていることがあります。ところが、貸金庫の開扉には、相続人全員の同意・実印・印鑑証明書、戸籍一式 などが必要で、一人や二人では開けられません。

対応の流れ:

  1. 銀行に「貸金庫開扉の事実調査」を申し入れる
  2. 原則として相続人全員が立会いのもと、銀行担当者と一緒に開扉。中身は銀行担当者が記録に残してくれる
  3. 中身の確認後、検認が必要な遺言書であれば家庭裁判所へ

慣れない手続きが続きますので、専門家にご依頼いただくのが負担を減らす一つの方法です。

ケース3:公正証書遺言の正本・謄本を紛失した

ご自宅で見つかった正本・謄本を、引っ越しや遺品整理の際に紛失されることがあります。ご安心ください。原本は公証役場に保管されていますので、ご相続人であることを示す戸籍謄本等を持参すれば、いつでも再交付を受けられます。

ケース4:遺言能力(認知症発症前後)が問題になる

「父が遺言書を書いたとき、すでに認知症の診断を受けていた」「妹が父に書かせたのではないか」――こうしたケースでは、遺言の効力をめぐってご相続人間で争いになることがあります。

判断材料となるのは、作成日の前後の医療記録、介護記録、当時の親族の証言、本人筆跡の確認などです。早期に弁護士や司法書士と連携しながら証拠の保全を進めることが、ご相続人皆さまの安心につながります。

ケース5:法務局保管制度を利用しているか不明

「父は法務局に預けていたかもしれない、でも誰にも言っていなかった」――この場合は、全国どこの法務局でも「遺言書保管事実証明書」を1通 800円で交付申請できます。利用されていなければ「なし」と回答されますので、確実な確認手段として活用してください。

➡ 関連ページ


★ まとめ:遺言書はご家族からの最後のお手紙

ここまで、遺言書の確認の流れ、3つの種類、検認の手続き、開封のリスク、無効になりやすいケース、複数遺言の優先順位、よくあるトラブルを見てきました。

状況別 検認要否マトリクス

ご自身のケースで「検認が必要かどうか」を最後に確認できるよう、まとめておきます。

遺言書の種類・状況検認の要否行き先
自筆証書遺言(ご自宅で発見)必要被相続人の最後の住所地の家庭裁判所
自筆証書遺言(法務局保管制度を利用)不要法務局で「遺言書情報証明書」交付 → 直接、銀行・法務局へ
公正証書遺言(正本・謄本がお手元にある)不要直接、銀行・法務局へ。紛失時は公証役場で再交付
秘密証書遺言必要被相続人の最後の住所地の家庭裁判所
封がされている自筆遺言必要(開封厳禁)封のまま家庭裁判所へ
封のされていない自筆遺言必要(開封済みでも可)家庭裁判所へ。開封の経緯も合わせて申告

「自分のケースは検認が必要なのか」「貸金庫の中身を確認したいが手続きが分からない」「遺言書を見つけたけれど、家族全員に共有してよいか不安」――こうしたお気持ちを抱えていらっしゃる方は、どうかお一人で抱え込まれないでください

うりずん相続手続き相談室では、遺言書の探索、検認申立て、戸籍収集、遺言内容に基づく遺産整理、銀行口座の解約、不動産の相続登記の事前準備まで、相続に関わるあらゆる手続きを、社会保険労務士・行政書士の独占業務として一括してお引き受けすることができます。司法書士・税理士との連携も含めて、ワンストップでサポートいたします。

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まずは、お気軽にご相談ください。

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執筆者プロフィール

前西原 清城(まえにしはら せいじょう)
うりずん相続手続き相談室/事務所代表
社会保険労務士・行政書士・身元保証診断士 1 級・終活カウンセラー 1 級

1965年、沖縄県那覇市壺屋に生を受ける。2020年、川崎市川崎区にOfficeうりずん社会保険労務士・行政書士事務所を開業。社会保険労務士・行政書士・身元保証診断士1級・終活カウンセラー1級の4資格を活かし、ご家族の相続から、おひとりさまの終身サポートまで、人生の節目を一貫してお支えする事務所として地域に根ざした活動を続けている。